2016年1月5日 トレンド

ウクライナにITのオフショア開発拠点をつくってわかった7つのこと

オフショア開発というと、ベトナム・タイといった東南アジアエリアに拠点を構えて…という国内企業も少なくないが、当社アイスリーデザインでは東欧の「ウクライナ」にi3DESIGN Ukraine llcというオフショアの開発拠点を有している。
そこで今回は、ウクライナにITのオフショア開発拠点をつくって分かった7つのことをまとめてみたい。

↓東欧のIT事情については、別記事を参照頂きたい↓

2015-12-15
ITのオフショア開発というと、ベトナム・タイもしくはインドといった東南アジアエリアに拠点を構えて…という国内企業も少なく

1. 優秀なエンジニア・人材が一杯いる

下の写真は、当社の子会社「i3DESIGN Ukraine llc」でのひとコマだ。
現地の社員は、物理学と数学の両方の博士号をもつ天才エンジニア, JavaScriptのハイパーエンジニア、日本のウクライナ大使館で勤務経験がある日本語堪能なスタッフなど優秀な人材がずらりと在籍。さらに日本側でも、ウクライナから東工大の大学院に国費で留学をしていた人材を採用したり、社内の会議室にもウクライナの地名を付けてしまっている。
よく「何故ウクライナという国を選んだのか?」という質問を受けるが、正直、こんなに人材が豊富な国だったら拠点作りたくなるでしょ、というのが最初のポイントだ。

プレゼンテーション1

2. 新しい技術の習得と理解が無茶苦茶はやい

手前味噌な話だが、当社では比較的カッティングエッジな技術を使った開発をしていることが多い。
具体的には、プロダクト開発においてNode.js, AngularJS, MongoDBといったいわゆるMEANアーキテクチャーでの開発で、インフラはAWSとGoogleクラウドコンピューティングの両方をフル活用し続け、月間数億PVのトラフィックを運用している。

開発体制としては、日本側とウクライナの両方のテック部隊でGitで、チケット管理からソースコード管理までをしている。
通常のコミュニケーションはHipChatなどでのコミュニケーションツールを中心にし、また両国に日本語とロシア語が分かる社員がいるため日本側でも、日本語・英語・ロシア語を織り交ぜながらディスカッションしている。

ウクライナに開発拠点を持ってよかった部分としては、新しい技術の習得と理解が無茶苦茶早い点にある。
インフラ設計ならびにアーキテクチャー設計は、サービスの特性に応じて都度判断をしているが、やりたい事とサービスの特性を考えてディスカッションをしながら決めている。
欧米のネット企業ってこんなペースでガンガン、サービス開発しているの当たり前かと思うと、全くもって恐ろしい時代だ。

開発スピードならびにクオリティについては、これまで私は中国ならびにインドでの開発も経験してきたが、技術トレンドの流れの速さを考えると、圧倒的に新しい技術への適用力が早い人材を発掘できるのがウクライナなのである。

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3. 言語の問題はあまりない

学生時代に私は哲学でドイツに留学をしていた為、語学については比較的、得意な方だ。
しかし、ウクライナではキリル文字が主で、当初さっぱり分からなかった(笑)。
正確には、ウクライナ語とロシア語は微妙に違い、簡単な見分け方としては「i」が混じっているのはウクライナ語、ないのがロシア語になるらしい。現地に行っても全くもって文字が読めない…町いく人たちには英語が通じなかったので、全くもって未知との遭遇状態だった。

が、仕事に関しては、言語についてはほぼ問題にならなかった。理由は簡単で、ウクライナのエンジニアの多くは英語圏の会社として仕事をしていることが多く、もともと外国語で仕事をしているのが一般的。そのためコミュニケーションが英語で取れれば、日本語インターフェイスの開発は特に問題がないのである。

むしろ海外からITの開発の仕事をうけるのは当たり前になっているので、日本語のシステムだからといって大した抵抗がないというのが実際のところだ。

 

4. メンタリティーは日本人に似ている?

オフショア開発をする際に、一番気になるのはクオリティだ。
クオリティという言葉はいうのは簡単だが定義が難しい。そこで敢えて簡単な言葉に換言すると、「まじめにシステムを開発してくれるか?」どうか、になると思う。

IT業界ではよく言われる言葉だが、日本人はエラーが起きない保守的なシステムをつくる傾向にある。
その一方、海外ではまず動くことを優先する。スピード優先でシステムを作って足りない部分を後からブラッシュアップしていくのである。

これは文字通りメリット・デメリットがあり、動きのはやいモバイル業界においてはスピードがとにかく重要であることは勿論だが、例えば金融機関の勘定系のシステムなどを扱うのなら日本的な志向がマッチするだろう。
それでいくとウクライナの開発チームは、総じて日本人に感覚は近い。つまり真面目にシステムを開発する。
これはウクライナへの仕事の発注元がドイツからも多いためか、はたまた冬は寒い地域なので真面目なのか、日本人的な感覚からすると比較的仕事はしやすいと言える。

 

5. 美人が多い

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ある意味、ITの仕事とはまったく関係ないが、ウクライナ人には美人が多い。
現地に行って仕事に疲れた際には、いい目の保養になる(笑)

 

6. 世界の見方は幾通りもある

これも仕事とは直接関係はないが、当社がウクライナに拠点を作ったのは4年前なのでクリミアの問題が起きる前ではあったが、改めて世界経済の複雑さを垣間見た。

インターネットの世界は、完全にグローバル化されていて、サービス開発もサービス提供も簡単に国境を越えられる。
北米の企業などは完全にグローバル化されているから、世界中の至るところで開発をしている。
オフショア開発をする際には信頼関係が大事だが、それを支えるものの1つとして「相互理解」がとても大事だ。

ウクライナで繰り広げられたロシア派と反ロシア派、歴史をひも解いて過去を遡ると、極めて複雑だ。
歴史の専門家ではないから、この辺りの詳細は割愛させていただくが、世界の見方が改めて広くなったというのも、ウクライナに拠点を持ったからこそ気づけた大きな収穫といえるだろう。

 

7. バーニャで生まれる信頼関係

「郷に入れば郷に従え」、ということわざがある。ウクライナでは、バーニャと言われるサウナが信頼関係を構築する上では極めて大事だ。上にも書いたがウクライナを取り巻く政治的な背景は極めて複雑だ。
その為なのか、彼らと話をしていると、信頼の前提が極めてウェットな人間関係で構成されている。逆にいうと、一度築いた信頼関係は
血の契ではないが、ビジネスを超えた信頼関係が構築できる。

元外交官の佐藤優氏は、ロシア政府筋とウォッカを飲んでバーニャに入り文字通り身体を張った人間づきあいで、現地の高官から絶大な信頼を得ていたという。

ITのオフショア開発拠点ではあるので文字通りビジネスではあるのだが、インターネットが普及したこのグローバルな時代、あらためて人と人のつながりの大事さに気づかされている。

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最近では海外にオフショア拠点をもつ会社も多くなってきた一方で、痛い目にあっている会社も多い。当社も、これまでも多くの国でオフショア開発をやってきて、現在はウクライナの拠点以外にも信頼できるパートナーが世界中にいる。そんな中、思うのは単純にコストだけを求めて、オフショア開発をすると失敗も多くなるが、「信頼」が構築できれば出来ることも多くなる。

世界はすごく広い。視野を広くもって、世界中の開発者と繋がってみませんか?

Yoichiro Shiba

ファウンダー兼CEO

大手シンクタンクにて金融機関むけのシステムコンサルティング業務に従事後、ソフトバンクにて海外ベンチャーキャピタルとの折衝、投資案件のデューデリを担当。当時ソフトバンクグループ会社内の最年少役員。その後、一部上場企業を対象に投資事業ポートフォリオ再編、バイアウトのアドバイザリー業務を提供、複数のIT企業の役員歴任。ロータリー財団の奨学生としてドイツBielefeld大学にて社会哲学を専攻。

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