2017年2月22日 テクノロジー

チャットボットをビジネスに活用する際に知っておきたいアレコレ

モバイルのUXを考える上でチャットボットの存在は欠かせなくなってきました。当社でも、社内プロジェクトならびにクライアントプロジェクトを通していくつかのチャットボット開発プロジェクトを行っていますが、そこで出てきたチャットボット活用においてポイントについて整理してみました。
 

目次

 

1.チャットボットと人口知能(AI)とは混同していはいけない

実に多くの人がチャットボットと人工知能AIをなんらかの同じカテゴリーで扱うケースは少なくないのですが、改めてそもそもチャットボットとAIとは全く違います。チャットボット、イコール、ボットがいい感じになんでも返事をしてくれる訳ではありません(笑)
 
通常、世の中に存在している多くのチャットボットは、ユーザーからの何らかの呼びかけによって、あらかじめ決められたルールを返答するのを基本としています。これは通常、人口知能ではなく「人口無能」と呼んでいます。その為、シナリオにはまらないやり取りは、返答ができないか、もしくは頓珍漢な返答をしてきます。
 
通常チャットボットは使えないというのは、こういった問いかけに対して期待する返答が十分に得られない場合に”使えない”と言われます。
 
一方で、単純にあらかじめ設定された文言に対してのみ返答ができるボットの場合には、日本語の言葉の揺れ(例えば「何?」とか「って?」といった)を吸収することができません。しかし、これらの言葉の表現上の揺れは、自然言語解析を行うことによって、文章の中で使われている単語を分解することができ、これに同義語の辞書をあてることによって、あたかも文章を理解してくれるかのようにボットは返答を回答することができます。これを世の中的にはAIという文脈で呼びます。
 
マイクロソフトが提供している「りんな」も、入力されてくるテキストを自然言語解析を行い、分解された単語から意味を理解し、それに応じた返信をしているのであたかも会話が噛み合っているように見えます。
 
実はこれ、女子高生のキャラクターテーマ設定が絶妙!極論をいうと雑談の会話が微妙に噛みあっていなくても、なんとなく会話が噛み合っているようにみせています。
 
 

2.チャットボットは、そもそも何に活用できるのか?

チャットボットは、そもそもビジネスシーンにおいてどのような用途で活用できるのでしょうか?代表的なパターンを3つ列挙してみました。
 
1.コンタクトポイント、コールセンター
最初のケースはウェブ接客ならびにコールセンター等の組み合わせの利用です。これは比較的、コスト削減効果が訴求しやすいのと、かつユーザー側にもコンタクトを人よりも敷居を低くするという意味で各社の導入が進んでいるように見受けられます。
 
2.顧客への通知用
このタイプは今後増えていくと思われます。例えばAmazonのLINEアカウント等は、購入時に商品のステータスを通知してくれます。クロネコヤマトも同様です。これらはメールもしくはアプリのPUSHでは見落としそうな際に、非常に効果的な手段です。ただし、この手を利用する場合にはユーザーはボットに何かを話しかけるというよりも、通知してくれるアプリとして認識されます。

3.アプリケーションインターフェイスとしてのボット
最後はリクルート社が提供している「パン田一郎」みたいなケースです。「パン田一郎」はユーザーとのチャットからそれに対する回答をする一方で、アルバイト検索から応募のための機能を提供しています。つまり求人というウェブサービスのインターフェイスにボットをつけて話題性(集客)の観点から、効果的に展開されているようです。
 
と、このようにビジネスシーンでも色んな活用事例が進んでいます。
 
 

3.アイデア次第で広がるボットの活用例

一方で、上に上げた例以外に、ボットはどのような活用ができるのかイメージしてもらうため、当社での事例を紹介したいと思います。
 
当社では、社内に「ナターシャ」と呼んでいる人事ボットがいます。このボットはもともと当社に中途社員が入ってきた際、入社オリエンテーションで毎回同じ話をしているので「これボットにならないのか?」というアイデアから出てきたものです。

シナリオ設定としては、単純に社内の経費申請や、就業規則等についての質問がされると、社内のWiki等のリンクを返答したりします。また事務関連に限らず、例えば社内の各人の名前で「xxxさんてどんな人?」と聞くと、ボットが返答してくれます。社内の人のバックグラウンドや性格等、何気に聞きづらい点をボットに回答させることによって、中途社員が会社に慣れるまでの期間を短くできないか?という試みをしています。
 
これを活用すると、例えば大企業等は人事異動をする際に引き継ぎ書を作っていると思いますが、これもボットに覚えさせて必要な時だけ前任の担当者に聞くといった”引き継ぎ君”的なサービスも可能になるかと思います。
 
 

4.ボットをビジネスで活用する上で重要なこと

そこで、実際に社内での活用ならびに顧客との複数のプロジェクトをやりながら、チャットボットをビジネスシーンにおいて導入する際に考慮すべきことを幾つか纏めてみました。
 
1. UXを考慮したボットの設計が大事
”ユーザーはボットが何をできるかが分からない”。上にも書いたようにボット=AIではないので、ボットは何でもいい感じに返答ができる訳ではありません。一方で、初めてそのボットを使うユーザーは、チャットボットというインターフェイスがヒト的な何かを期待するせいか、何か質問や投げかけをするとなんでもいい感じに返答してくれるのではないか、と暗に期待してしまっています。
 
Google AlloやAmazon Echoは、このようなユーザーが知りたいことをアシストするためのサービスを模索していますが、多くのボットは人口無能型の返答になるため、ボットを利用するユーザーと期待のギャップがあります。

その為、よくあるアプローチとしてはボットの機能を特定させることです。例えば雑談用、リマインダー用、検索用のようなものです。Google Alloもそうですが、ユーザーにヘルプを呼ばせて自分が何をできるか知って貰ってから、そのコンテキストでボットを使わせるというアプローチです。
 
ここで難しいのは、単一機能のボットの場合には、ユーザーがわざわざ登録するか、もしくはそのボットを探して登録するのが面倒だということです。逆になんでも返答するような(文字通りAI的な)ボットを思考すると、コミュニケーションが成立せずユーザーの期待は失望に変わり、使われなくなります。
 
なので、そのボットがなんのためのボットなのか、もしくはボットを使うためのユーザーメリットをUXの観点から適格に定義してあげないと、開発されたボットは微妙に使われないものになってしまいます。
 
2.全てチャットで対応させない
下の図は、ドリブルに掲載されているチャットボットで航空機を購入する際の理想的なUIとして紹介されているものです。このUIは、ユーザーの利用シーンを考えると素晴らしいですが、これと同様のUIを実現できるチャットアプリはありません。

参考:
https://dribbble.com/shots/2749390-Messenger-Bots-Partial-payment-Concept
 
しかし似たようなことはできます。以下の例はFacebook Messangerで利用可能な「Olabot」ですが、通常のChat画面にHTML5で開発された画面が立ち上がりUIの制限に大きくチャレンジしています。

そもそもUXを考えた場合、すべてチャットで文字入力するのは面倒くさいし、かつ入力項目の修正等を考えると、エレガントでもありません。
 
代替案としては、入力項目ならびに情報収集が必要な項目はチャットで行うのではなく、ウェブなりのユーザー画面と併用することです。ウェブであれば入力項目を自由に変更することができ、かつUI設計も比較的自由につくることができます。

またウェブだけだと、単純にチャットボットがウェブインターフェイスを呼ぶだけのメニューアプリになってしまいます。例えばこれをUXをイメージしてウェブから入力させるのがいいのか、もしくは写真を読み込ませて、OCRで読み込んで確認をさせるのか?など。音声入力させてみるとか、ユーザーの利便性と明らかにUXにインパクトを与えるような設計が大事になってきます。
 
3. シナリオ設計も大事だが外部連携と運用考慮がさらに大事
また難しいのは、ボットで対応するシナリオの実装においてボット開発ツールを使ったほうがいいか、それともロジックを組んでしまったほうがいいのかが悩みどころです。
 
ボット開発ツールで調べてみると、ざっとこのようなサービスがあります。

https://botbird.biz/
https://hachidori.io/
https://chatfuel.com/
https://www.motion.ai/
https://www.reply.ai/

 
これらのツールの多くがノンプログラミングでボット開発ができるいった点を売りにしていますが、ボットの仕組みは以下のようになり、ボットのシナリオ作成はこの中の一つでありません。

実際には、その前段の入力情報の理解、かつシナリオに基づいて戻すバックエンドシステムのつなぎ込みの可否が非常に重要になってきます。
 
ただボット開発ツールの利用メリットもあり、特に重要となってくるのは導入・開発時というより、運用時に導入企業側で返答の文言を動的に変更したいといった場合です。外部とのシステム連携等が特に必要ない場合には、なんらかのボット作成ツールを使うというのも一つの手だと思われます。
 
4. チャットボットは手段であって目的ではない
最後に指摘したいのは、チャットボットは手段であって目的ではない、ということです。ボットエコノミーという言葉に代表されるように、実に多くの人がボット自体で何らかのサービスを提供できるのではないかと模索しています。
 
一方で最大の問題は、仮にユーザーが増えたとしてボット事態でマネタイズをどうするのか?という問題。、そもそもボットのビジネスは上手くいかないという風潮も少なくありません。
 
しかし、これは発想を全く逆に考えると、チャットだけで全部をやらせるから旨くいかないけど、ユーザーインターフェイスとしてのチャットボットと考えると、実際の利用シーンとサービスは多く考えられます。
 
また上にも書いたように全てをチャットでやるのではなく、ウェブとの融合を行うことによって課金ポイントは以下のようにでも作れることが可能になりますよね?
 
ここから先を知りたい方は、是非とも当社までお問い合わせください(笑)。
 
i3DESIGNは最新の技術とUXデザインの観点からクライアントのパートナーとしてITを使ったビジネスの実現をサポートします。独自ノウハウに基づくモバイルソリューションや自社プロダクト群をグローバルに展開し、優秀なTechエンジニアによる高品質なWebサービスからアプリ開発まで、 幅広くクライアント&ユーザーのニーズに答えることができます。
 
ボットをビジネスシーンへの活用を検討されている方は、まず一度、お気軽にお問い合わせください!
 
 

Yoichiro Shiba

ファウンダー兼CEO

大手シンクタンクにて金融機関むけのシステムコンサルティング業務に従事後、ソフトバンクにて海外ベンチャーキャピタルとの折衝、投資案件のデューデリを担当。当時ソフトバンクグループ会社内の最年少役員。その後、一部上場企業を対象に投資事業ポートフォリオ再編、バイアウトのアドバイザリー業務を提供、複数のIT企業の役員歴任。ロータリー財団の奨学生としてドイツBielefeld大学にて社会哲学を専攻。

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