2015年12月15日

イベント

Mobile World Congress 2015で見た、最新スマホ事情

ファウンダー兼CEO

今年3月2日~5日にバルセロナで開催された世界最大モバイル関連の見本市「Mobile World Congress 2015」。
会場には各メーカー新機種を含めた最新のスマホ、もしくはスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスが展示されていて、スマホ最新事情が窺えた。
これらの出展の動向から今後のスマホの勢力図がどうなっていくかを予測してみたのでまとめてみたい。

 

第3勢力の最近の動向

Tizen OSと言えばドコモから出るぞ出るぞと噂されながらも、未だ市場投入がされておらず、日本では忘れられたOSとなっているが、グローバルでみれば彼らは勢力を伸ばそうとしている。

MWC2015 Tizen

写真はTizenのブース。Tizen OSが搭載されたSamsungの端末が並んでいた。
出展者側に確認したところTizenは、今となってはローエンドデバイスのシングルコア、もしくはデュアルコアで稼働する端末でも十分に稼働するのを売りに、インドならびにバングラデシュで主に販売されている。またスマートウォッチへの搭載ならびにカメラへの搭載とIoTにも活路を見出しているようだ。

 

IMG_4103.JPG

次に、日本ではKDDIが発売している機種に搭載されているFirefox OS。すでに各国のキャリアならびに各メーカーの端末に搭載されているモデルを並べていた。今回、Tizenのようにウェアラブルデバイスへの搭載例は展示されていなかったが、これまたローエンドデバイスでも稼働するのを武器に、特に新興国での普及を狙っているのが顕著に表れていた。

Ubuntu

Ubuntuは、Tizenと同じ戦略をとっていた。ブースではウェブアラブル端末への搭載事例も数多く展示していてLinuxベースという強みを活かして、これからIoT分野での利用は進むものと思われる。

もともとWindows Phoneを除けば、これらの第三勢力が狙う市場は人口が多く、これから急速にスマートフォンが普及すると想定されるインドやアフリカといった新興国マーケットだった。これらのマーケットでは平均所得の関係からもデバイス単価が安さ普及のカギと考えると、肥大化するOSに対してできるだけ軽量でかつ少ないCPUパワーでバッテリーの持ちがいいデバイスで稼働させることを重視する。ただ、今回の出展状況と、現在の新興国でのAndroidの普及状況を考えると、ここにあげる第三勢力は単純に新興国でのローエンドデバイスだけでは十分でないと考えたのか、IoT分野にも活路を見出しているようにも見える。

 

ハイエンド機種同士の戦い

第三勢力とは違い、ハイエンド機種の戦いはどうだろうか?

MWC2015Samsung

 

今回の展示会にSamsungは曲面エッジを実現した最新のGalaxy S6を投入してきた。OSとしては最新のAndroid 5.0 Lollipopを搭載し、カメラ性能は16メガピクセルで、バッテリー性能を大きく進化させている。展示ブースも他社を圧倒する大きさで全面的に、このGalaxy S6を打ち出してきた。皮肉にもMobile World Congressが選定するベストデバイス賞は、出展をしていないアップルのiPhone 6が選定されたが、このiPhone 6より、いかに高機能かをうたったプレゼンテーションを繰り広げていた。

ハイエンドモデルを競いあっているのは何もアップルとSamsungだけではない。
LG, ZTEと端末大手メーカーが4コア、8コアのCPUを搭載し、ディスプレイ性能も極めて高いことを表現するためにリッチコンテンツ、動画を表示させての展示になっている。上の第三勢力と比較すると、スマホという言葉は同じだが、ハイエンド追求とローエンドでも稼働を競う、と全く別のベクトル時代が進んでいることを感じさせられる。

MWC2015_IoT

その一方で、同じベクトルを向いているのがIoT分野だ。今回の出展では特にスマートウォッチと自動車との融合の事例が多く展示されていた。テスラモーターズはiPhoneアプリから操作できることで有名だが、LGのブースではAudiとコラボしてAudie mobile Keyと称してLGのスマートウォッチとの連携は来場者を魅了していた。
資本力のあるこれからのデバイスメーカーは、より大きなビジネスをするために自動車メーカーと連携していくというのは、ある意味当たり前かもしれないが興味深い。

 

2020年のスマホと通信環境

2020年まで時間軸を伸ばして、これからスマホもしくは通信環境はどうなっていくのかを予測してみたい。

下の画像は、過去何回か私の講演で使った資料だが、実はスマホの未来はある程度は予想ができる。

iPhoneの変遷と未来予測

まずはデバイスからであるが、過去2008年から現在までをみると、iPhoneはほぼ2年単位で新モデルを世の中に投入していることがわかる。これはムーアの法則のトランジスタの集積度は2年で倍になるというのと関係しているのかどうかはよく分からないが、文字通りiPhoneの性能も2年単位で飛躍的に向上している。これでいくと2018年にはiphone8が市場に投入され、2020年にはiPhone 10?(名前が変わっている可能性があるが…。)が投入されることが予想される。性能は、2の3乗で計算すると、現在の端末の約16倍になっていることが予想される。

上にも書いたけれども、現段階においても端末の表示性能、CPU性能はリッチコンテンツ、動画を表示させるには十分な性能を持っている。…が、現在の端末よりも16倍も高い端末って、コンテンツを作る側からすると、どれだけ制作コストが掛かるリッチコンテンツを制作しなければならないんだ?と不安になるぐらいだ。

スマホの通信回線環境はどうなる?

また今回のMobile World Congressでも、話題の一つは5Gネットワークだ。ネットワークの進化も過去を振り返ると明らかな法則性があり、ネットワークのデータ転送量は約4年で10倍に進化している。これから予測すると2020年には5Gと呼ばれるネットワーク環境に市場は移行し、現在の通信容量の約10倍、実測で3ギガ以上でのコネクションが当たり前となる時代がくるものと予想される。

デバイス性能の変遷と各プレイヤーの戦い

上にみたように、今後もデバイスはすごいスピードで進化をしていく、その一方で集積度が2年で倍になるということは、6年後には今のiPhone 6と同じ性能の端末が理論的には16分の1の大きさになることが想定される。文字通りIoTがあらゆる端末に搭載がより可能になっていく。

このことから予想されるのは、第3勢力を含む各OSは単純にスマホというデバイスで勢力図を分割していくのではなく、例えば物理的な面積が小さく、少ないCPUパワーで長く稼働できる端末は、iOSやAndroidではなくTizenやUbuntuといったようにスマホ以外の端末の分野で勢力を伸ばしていく可能性がある。

グローバルマーケットでの端末普及数からみれば、すでにAndroidがiOSを凌駕しているが、iPhoneは特にハイエンドブランドとしてよりハイエンド端末でのリッチな表現を可能にする端末に進化し、自動車メーカーとの提携もテスラモーターズやフェラーリのように高級車との連携がより多くなるかもしれない。

Androidは、今のところハイエンドならびにローエンドの両方を向いているように見えるが、上にあげたような第三勢力の動向によっては自分たちの強みを活かしたエリアをより強化する形に進化するだろう。

いずれにせよ、進化とは環境に適用して、変化していく環境の中で強いところを強化して生き残っていくことであることを考えると、カンブリア紀のように現在、爆発的に分化したデバイスやOSはすでに生き残りをかけて進化の過程に入ったようにみえる。そんな進化の過程を垣間見たのが今回のMobile World Congressだった。

ファウンダー兼CEO

Yoichiro Shiba

大手シンクタンクにて金融機関むけのシステムコンサルティング業務に従事後、ソフトバンクにて海外ベンチャーキャピタルとの折衝、投資案件のデューデリを担当。当時ソフトバンクグループ会社内の最年少役員。その後、一部上場企業を対象に投資事業ポートフォリオ再編、バイアウトのアドバイザリー業務を提供、複数のIT企業の役員歴任。ロータリー財団の奨学生としてドイツBielefeld大学にて社会哲学を専攻。

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