2019年2月28日 UXデザイン

新事業担当者の必須スキル!共感と支援を勝ち取る“ピッチ”とは?!

ピッチというのは、スタートアップが投資家向けに行う、自社のサービスやビジネスモデルを説明するプレゼンテーションです。通常のビジネス上のプレゼンテーションが特定の顧客へ行なわれることが多いのに対し、ピッチの場合は初見の相手や不特定多数の聴衆に対してなされるのがその特徴です。

そして、最近はこのピッチの作法を取り入れて社内新規事業の提案活動を進める企業が多くなってきました。上層部から時間と予算を調達し、他の部門を巻き込み、試行錯誤を繰り返しながら事業生み出すことが求められる新規事業において、スタートアップの資金調達、パートナー、顧客との関係づくりの方法論が強力なツールとして応用できるわけです。

というわけで今回は企業内新規事業の視点でピッチについてご紹介します。
 

 
 

*ピッチの資料とは

ピッチ資料はビジネスを完結に説明するスライドと、サービスまたは、WEBサイトへのリンク、起業家たちの経歴などがまとまった10~12枚程度のスライドで、その特徴は、短時間でその事業が解決する課題やビジネスモデル、起業家が思い描いた構想をストーリーをまとわせながら語れる点にあります。そして人々にサービスを理解してもらい、関心をもたせ、行動を取らせるということがこの資料の最大の目的です。
 
ピッチ資料のアーカイブはこちら!
https://www.cirrusinsight.com/blog/startup-pitch-decks
 
 

*ピッチの構成

ピッチ目次はとてもシンプルで投資家が投資案件を見定める時に、確認する視点に沿って構成されています。標準的な構成は以下の10項目。1項目1〜2スライドでビジネス、サービスを説明します。
 
 

1.タイトル/概要

概要スライドは提案するサービスについての「エレベーターピッチ」つまり資料全体を15秒で圧縮したバージョンです。発見した世の中のどのように解決しようとしているのかを説明し、もっと聞きたくなるように促します。
 

2.顧客と課題

新規事業は究極の問題解決です。このスライドでは「誰にとって」「どれくらい大きな問題なのか」ということを説明し聞き手に解決が必要な理不尽な状況が起きていると感じさせましょう。
 

3.解決策

前述の「顧客と課題」に対して、どういう風に解決しようとしているのかを紹介します。同じ問題に対する解決方法は山のようにあり、その中であなたがとる問題解決のアプローチについて伝えてください。
 

4.優位性・ユニークネス

このスライドで伝えるべきは、競合と自社のマッピングではなく、なぜ勝てるか?ということです。大企業には有形無形の様々なアセットがあります。企業内新規事業においては、自社がもつアセットをどのように活用し差別化するのかを伝えれるとよいでしょう。
 

5.マーケットサイズ

このスライドで重要になるのは、精緻な市場規模の予測ではありません。「アップサイドが非常に大きい」ことを示せるかどうかです。外部トレンドやマーケット予測規模を紹介し、企業として取り組むに値する市場であることを示してください。
 

6.ビジネスモデル

どういったビジネスモデルを選択しているのか、つまりどうやって収益を得るのかを示してください。
 

7.チーム

この事業を実現するための必要な能力、役割を紹介します。内部で能力が不十分な場合は、外部パートナー含めた体制を示し、目標達成できそうだ。という印象をあたえることが大切です。
 

8.戦略・今後のマイルストーン

描いた構想を実現するために一番最初に倒すべきドミノはどれか?最初の一手として適切な戦術とその理由を説明します。また6ヶ月後、12ヶ月後にどのような展開を考えているのか?をガントチャート等の時系列な図を使い中長期的な計画を紹介してください。
 

9.予算計画

この事業案を市場で検証するためにどの程度のコストが必要なのか?1~2年程度を目安に財務面の予算を示します。スライドでは大枠の数字がつかめればよいので、細かい数字は別紙扱いににましょう。
 

10.Why You ? Why your Company?

新規事業の成功確率は3%といわれるように、合理的に検討をすればするほど、「今は時期尚早だ」「リスクが高すぎる」といった判断をくだされてしまいます。そのような不確実な要素が多い中で、なぜ自社がこの事業に取り組む必要があるのか?更にはなぜ自分がこれをやりたいのか?会社のビジョンと自身のウォンツを重ね合わせながら伝えることが重要です。
 
 

 
 
これまで事業をはじめるために必要な標準的なドキュメントは事業計画書でした。そこでは競合やターゲット市場、潜在市場の同行が緻密に分析され、事業立ち上げから3年先、5年先までの戦術、売上・原価の年次推移を詳しく記載されていました。この資料には事業の取扱説明書のごとく事業を立ち上げて推進するためのすべての計画・情報が記載されていたわけです。

しかし、市場があるかも定かではない0→1の局面では、事業計画書は理論では完璧ながら実用に耐えないものになってしまいます。なぜなら0→1というのはその定義上、極限の不確実性の中にあるからです。つまり0→1とはビジネスモデルを模索する時期であって、実行すべき計画をもつ性質のものではないのです。

ぜひゼロから新サービス、新事業の提案する際は、このピッチスタイルを活用してみてください。

 
【参考書籍】 巻き込む力 支援を勝ち取る起業ストーリーのつくり方
 
 

OhnagaNobuyuki

N.Ohnaga

株式会社アイスリーデザイン取締役、株式会社bridge代表、サービスデザイナー。日本にペルソナを導入した先駆的企業であるmct社のコンサルタントとして人間中心イノベーション手法を活用した商品開発、サービスコンセプトの構築、イノベーション人材育成といったプロジェクトをリード。2017年1月bridge.Incを設立。多様な業種、組織の200を超えるデザインプロジェクトの実践経験をノウハウとして体系化し、スタートアップや中小企業のイノベーションを支援する。2017年8月より株式会社アイスリーデザインに役員として参画。

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