2016年7月8日 UXデザイン

ECありきの中国市場

ここ数年盛り上がっていたインバウンド観光客の爆買いも少し落ち着いて来たと言われている。観光スタイルも買い物から体験型にシフトしていると言われており、観光ビジネスとしてはある意味現代の健全な観光スタイルに戻ったとも言えるだろう。

しかし、一方で伸び続けているのが越境ECと言われる日本以外でのEC事業の展開だ。つまり日本製品に対する魅力が失われたわけではなく、旅行しなくても中国国内のECで日本の商品が購入できるようになってきているということでもあるのだ。

これまでのインバウンドの爆買いを行っていた人も観光客以外に日本に買い付けを行うために来ているソーシャルバイヤーと呼ばれるような個人買い付けの人が多数いたことも事実だ。宝飾品などの高額品は富裕層のお土産であるが、ソーシャルバイヤーは中国のECサイトで販売するための日常的な商品を買い付けに来ているため今後も減ることはないだろう。
 
 

中国のEC市場規模が米国を抜く

 
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公式サイト:アリババ(中国)
 
 
中国におけるEC市場の成長はめざましいものがある。すでに市場規模は3年前に米国を追い抜いている。しかもリアル店舗の売上は減少しており、リアルの売上を奪う形でECが伸びていると言われており、2015年の市場規模は75兆円を越えている。

その大きさを象徴するのが独身の日と言われる「11月11日」に行われる大セールだろう。中国最大のEC企業アリババグループは2015年の11月11日だけで1兆7600億円の売上を記録した。この数字は日本のカタログ通販市場の1年間の売上である1兆4000億弱をたった1日で越えていることになることからそのすさまじさがわかるだろう。

 
一方で中国政府も制度変更を行っており、課税は厳しくなる方向という逆風の動きもあるが、現在の勢いからすればそのことが市場の成長に対してマイナスの影響を与えることは少ないだろう。まだまだ成長が期待できる市場なのだ。

日本企業が今後とるべき戦略としてはまずはこうしたECにおけるチャネルを確立させる必要がある。ひとつはアリババが運営する「天猫モール」やライバルのテンセントが出資する「京東商城」などに出店することである。
 
 
天猫
公式サイト:天猫モール
 
 
jd
公式サイト:京東商城
 
 
しかし、すでに加熱する市場の中で出店希望を出してもそれぞれのモールの担当者の許可が無ければ出店すらできない状況のようだ。すでに出店している企業を通じて出店するなどの方法もあるが、中国人に対してブランドを確立させることも必要となってきているということだ。

このように考えると日本においてECが二の次の企業でも中国市場でビジネスをするならECファーストでなければダメだということがわかるだろう。グローバルに展開し、中国市場を狙う企業にとってはまずEC戦略ありきとなったことをあらためて認識するべき状況なのだ。
 
 

Kentaro Fujimoto

D4DR 代表取締役社長

1991年電気通信大学を卒業。野村総合研究所在職中の1994年からインターネットビジネスのコンサルティングをスタート。日本発のeビジネス共同実験サイトサイバービジネスパークを立ち上げる。 2002年よりコンサルティング会社D4DRの代表に就任。広くITによるイノベーション,事業戦略再構築,マーケティング戦略などの分野で調査研究,コンサルティングを展開しており,様々なスタートアップベンチャーの経営にも参画し,イノベーションの実践を推進している。現在、日経MJでコラム「奔流eビジネス」,日経BIzgateで「CMO戦略企画室」を連載中。

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