2023年12月12日

ナレッジ

ペルソナがどのように売上に貢献するのか

Tomohiro Nobayashi

はじめに

アイスリーデザインの野林と申します。
弊社ではUIUXデザインの相談を多く頂きます。

この数年でUIUXというワードが浸透してきたのですが、その一方で、UIUXデザインについては、まだまだ理解されていないと感じることも多くございます。

この記事では表層のUIデザインだけでなく、戦略部分のUXデザインの1つの手法である「ペルソナ」がなぜ必要なのか。具体的にどう作るのか、そもそも売上に貢献するのか、についてまとめたいと思います。

弊社に寄せられるUIUXデザインの相談の多くは「最終的に売上を伸ばしたい。そのために、ユーザー体験や使い勝手を向上したい。」というものです。ここまでは良いのですが、さらにお話を深掘りしていくと、表面的なUIデザインについては費用は出せても、戦略部分のUXデザインまでの予算は確保していないケースも多いです。ここについては疑問を感じてしまいます。

その理由として、弊社の過去の記事である「ユーザーモデリングの3階層」にも記載しておりますが、UIデザイン改善においてはUXデザインから取り組むべきだからです。詳しくは上記の記事を読んでいただければと思いますが、UXの5段階モデルというものがあります。そのうち、UIデザインは表層部分であり、これを構築するには「戦略・要件・構造・骨格」の4階層から積み上げていく必要があります。

つまり、本質的にUIデザインを改善したいのであれば、UXデザインから取り組まなければいけません。

今回はUXデザインの1つの手法で、最もポピュラーであるペルソナ作成が売上に貢献するのか?というテーマでまとめたいと思います。

ペルソナは売上に貢献するのか?

早速ですが、ペルソナは売上に貢献する、というのが私の考えです。但し、これには条件があり、中長期的であり間接的な売上への貢献です。もしも、短期的に直接的な観点で売上に寄与したいのであれば、広告予算を増やし、キャンペーンを実施する、広告の量を増やすというのがベターではないでしょうか。

一方で、企業としては持続的に売上を伸ばしていきたいと考えるのではないでしょうか。そうなると、短期的な施策で一時的に売上が増加しても継続しなければ、自転車操業となり非常に苦労してしまいます。本来目指す姿は、中長期的に多くのユーザーに利用され続け、ユーザーの満足度も高く、企業も持続的に売上・利益を得られる、という状態ではないでしょうか。実際に皆さまもスマホアプリをダウンロードしたものの、使いにくくて使ってないものもあれば、逆に毎日開くようなアプリもあるのではないでしょうか。後者のアプリは、UXデザインをしっかり行い、ユーザーが本当に求めているものを理解し、形にする(UIに落とし込む)ことで、長く利用されるプロダクトとなります。

結果的に、ユーザーの満足度も高く、企業も持続的に売上・利益を得られる、という理想の状態を達成できます。

改めてペルソナとは?

ここで改めて、基本的なペルソナの概念などを説明していきたいと思います。

1. ペルソナの定義

ペルソナ(Persona)という言葉には、2つの意味があるのをご存知でしょうか?

心理学的意味とビジネスの意味が存在します。心理学的意味のペルソナはスイスの心理学者カール・グスタフ・ユングが提唱した概念です。ユングはペルソナを「人間の外的側面・自分の内面に潜む自分」と定義しています。

この記事では、ビジネスの場面で用いられるペルソナについて解説していきます。ビジネスの場面では「架空の人物モデル」を示します。対象となる人物を細かく設定する事で商品やサービスを販売する際のマーケティング戦略のために作成します。心理学的意味・ビジネスの意味、どちらにも共通する点として「人物像」を示す、ということです。

2. ペルソナはどんなシーンで必要?

マーケティング戦略において、ペルソナを設定することで

・顧客のニーズ

・顧客の商品購入時の思考・行動のプロセス

を具体化できます。

これにより、顧客が求める商品やサービスの開発、顧客体験の向上に繋げることができます。ペルソナを明確にすることで、顧客の満足度を上げ、商品の購入数増加やリピート率の増加が期待でき、企業としての売上・利益の増加に影響します。

と、ここまでは教科書的な内容になりますので、次の章から、弊社がUX/UIデザインの観点とビジネスの観点で培ってきた知見を踏まえてお伝えしていきたいと思います。

売上に繋がらないペルソナあるある

ここまで述べてきたように、「顧客の理解」の為にペルソナを作るケースが非常に多いです。顧客理解をした上で、最終的には企業としてどうしていきたいのでしょうか?冒頭にも述べましたが、「ユーザーの満足度が高いサービスやアプリを作り、企業も持続的に売上・利益を得られる状態の達成」ではないでしょうか。ところが、実際にはビジネス観点の抜けたペルソナを作ってしまうケースが多くあります。これについて説明していきます。

弊社ではペルソナ作成のテンプレートを配布しています。ダウンロードした理由を聞くと「ペルソナの作り方がわからない」という声が非常に多いです。テンプレート通りに埋めていくと、ペルソナっぽいものは完成すると思うのですが、実はここに2つの落とし穴があります。

それは、

・そんな都合のいい人いる?

・作って満足してない?

という問題です。

これがビジネス観点の抜けたペルソナです。冒頭に述べたように、顧客理解の為にペルソナを作っているはずです。顧客理解の先には、顧客中心に考えたプロダクト開発や販促企画、ブランディングやマーケティングを行うこと、そして、企業としてビジネスを成功させることが目的のはずです。

ところが、ペルソナを作ることが目的になると、作り方の正しさを求めてしまいます。この作り方で合ってるのか、他の人はどう作っているのかと。ゆえに「どう作ればいいですか?」という手法についての相談が生まれているのではないでしょうか。ユーザー理解のために作り始めたはずが、目的を見失い、社内の稟議を通すために作っている、そんな状態では上司の承認はもらえても、最終的な売上に繋がるはずがありません。

売上貢献につながるペルソナに必要な3つの観点

ではビジネス観点を取り入れた、売上貢献につながるペルソナ作成のポイントを3つ紹介します。

1. 思い込みや先入観で作らない

ペルソナ設計時にはペルソナシートを元に作成をしていきますが、そのときに自分の感性だけで記入してはいけません。特に、年収などの数値を扱うものに関しては、自分が思う価値観で設定してしまうとサービスの価格設定に影響を与えてしまいます。したがって、Web上から統計データ等を活用し、正確なデータで設定するようにしましょう。

2. 幅広い情報を活用する

ペルソナ設計時には、数値だけではなく情緒に関する情報が必要になるケースもあります。情緒に関する情報が欲しい場合には、良い意見だけではなく悪い意見も活用しましょう。活用する場合には、クチコミサイトなどのデジタルな情報やアンケート結果などのアナログ情報をまとめて利用することで、新たな考えが浮かぶ可能性があります。ただし、いい口コミだけを採用してしまうと、情報が偏って新たな考えも浮かんでこないため幅広く情報収集をしましょう。

3. 定期的にアップデートをする

ペルソナは設計した時が最新の状態となるため、常にアップデートする必要があります。現在、新たな情報やデジタルツールの登場により、生活スタイルや経済状況が常に変化しています。ペルソナについても、社会の変化に応じて変化していかなければならないのです。したがって、数字データや口コミは定期的に調べていき、身近にいるリアルな人物像と比較をするのが良いでしょう。

ペルソナの作り方をさらに深掘り

ペルソナ作成のポイント3点をまとめましたが、それらをどう実現するのかについて、もう少し深掘りしたいと思います。

「思い込みや先入観」「幅広い情報の活用」これについては、デスクトップリサーチが一般的です。しかし、それだけでは不足しており、ユーザーインタビューなども行うと良いでしょう。ユーザーインタビューをすることにより、これから参入したいマーケットの競合サービスに対する印象や、デスクトップリサーチだけでは得られない生の声を拾うことが出来ます

「定期的にアップデート」これは、社内のマーケティングチームやUXデザインチームなどが定期的にアップデートする必要があります。VUCAと呼ばれる、将来の予測が困難な現在では、リリースしたサービスがすぐに軌道に乗ることは、むしろ稀です。リリース当初に想定していた顧客イメージ(ペルソナ)にはヒットせず、他の顧客層がターゲットだった、ということに気付く場合も多くあります。その例としてWeb会議ツールのbellFaceがあります。bellFaceは一時期TVCMもやっており急激にユーザーを伸ばしましたが、その後ZoomやTeamsなどにシェアを奪われます。

そこで、改めて利用頂いているユーザーを見直すと、金融業界がターゲットだと気付いたというストーリーなのですが、これがまさにペルソナをアップデートした事例ではないでしょうか。

参考:https://newspicks.com/news/8603286/body/

昨今のプロダクトやサービスは、リリースして終わりではなく、そこからのグロースフェーズが重要です。

そのためには、社内でのマーケティングチームやUIUXデザインチームとの密な連携や、場合によっては外部からの支援が必要になるのではないでしょうか。

まとめ

具体的に売上貢献に向けた3STEPはこちらです。

①ペルソナを設定する(本記事にて述べてきた内容)

②施策の実行(ペルソナをもとに、UIUXデザインの改善やマーケティング施策の実行)

③振り返り(定性・定量評価)

改めてペルソナを作る目的は、ユーザーの満足度が高いプロダクトやサービスを作り、企業が持続的に売上・利益を得られる状態のため、ではないでしょうか。そのためには、作成したペルソナを活かして施策を実施し振り返りが必要です。だからこそ、ビジネス観点の抜けた、作ったつもりのペルソナになってはいけません。

今回はペルソナに絞り解説をしてきましたが、その他のUXデザインプロセスも売上貢献のために必要なものだと考えています。

弊社では、UXデザインにおけるあらゆる手法を取り入れています。今回紹介したペルソナ以外にも、カスタマージャーニーマップ、サービスブループリント、ブランドアーキタイプなど、UXデザインにおける戦略部分からご支援しております。これからプロダクトやサービスを作りたい、現在のプロダクトやサービスをより良いものにしたい、という方はこちらからご相談ください。

 

Tomohiro Nobayashi

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