2019年1月30日

テクノロジー

ジョハリの窓”で自社と顧客のズレを確認しよう!

N.Ohnaga

皆さんは、心理学で出てくる「ジョハリの窓」をご存知でしょうか?

ジョハリの窓とはサンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフトとハリー・インガムが発表した「対人関係における気づきのグラフモデル」で、「自分は気づいている・気づいていない」という軸と「他人は気づいている・気づいていない」という軸で分けられた自己理解のズレに気づく手法です。

この自己理解のズレ、つまり自分が知っている「自分の特徴」、他人が知っている「自分の特徴」の一致・不一致は自己分析のツールとしてよく使われるのですが、実はビジネスのマーケティング・ブランディングの課題を発見する手法としても有用なんです。

今回は、自社(もしくは自社のサービス)が顧客からどのようにみえているのか?その認識のズレを顕在化させるフレームワークとしてジョハリの窓を紹介したいと思います。
 
順番にみていきしょう。まず「自社は気づいている・気づいていない」「顧客は気づいている・気づいていない」という軸で4象限を作ります。
 
 

 

○開放の窓

ここは自社が考えている提供価値と、顧客が感じている価値が一致している状態を示します。なので、ここの窓(領域)が大きければ自社の価値や能力が正しく伝わっているわけです。逆にこの窓が小さいと、顧客から見たときに「よくわからない会社(サービス)」のように見えているということになります。
 
 

○盲点の窓

盲点の窓は「顧客は気づいている」が「自社は気づいていない」という象限です。自社分析が十分にできていない、あるいは自社が気付いていない顧客の不満が多く存在する場合はこの領域が課題として大きくなります。たとえば、企業にとっては思いもよらなかった顧客からの要望・質問・苦情がこれにあたります。ここでは顧客の不満を解消する、さらには自社のサービスを徹底的に顧客の視点で整備、再構築するための取り組みが求められます。
 
 

○秘密の窓

秘密の窓は「自社が気づいている」が「顧客は気づいていない」という象限です。自社が伝えたつもりでも、顧客には十分に届いていないという課題がこれに当たります。自社の価値をどのように伝えると顧客に届くのか、メッセージの打ち出し方や、タイミング、接点などコミュニケーション施策を見直すことが求められます。また対処法だけでなく、蓄積されたビッグデータを分析することで顧客すら気づいていない潜在的な課題やニーズを特定し先回りして解決するといった事もこの象限にあてはまります。アマゾンのおすすめ機能などがそれにあたります。
 
 

○未知の窓

未知の窓は「顧客も自社も気づいていない」窓です。この窓は、競合他社も気づいてない可能性があるためイノベーションの源泉になりえます。ただし、自社や業界のこれまでのやり方や慣習、社員一人ひとりのメンタルモデルがバイアスとなって、なかなか発見できないのもこの窓の特徴です。アンケートやグループインタビューといった一般的なユーザー調査ではなく、エスノグラフィーなどデザインシンキングのアプローチを通じて、企業側のバイアスを乗り越えるための努力が必要です。徹底した小学生の観察から、従来の運動靴の概念を壊し、左右非対称のソールを配置したアキレスの「瞬足」はその好例でしょう。
 
 
皆さんの会社はどの象限に課題や機会がありますか?自社が考える自社の特徴や価値と、顧客が思う自社の特徴や価値のズレや不一致の発見は顧客との関係構築、ブランディングをすすめていく中でとても重要な活動です。さらに優良顧客とそうでない一般顧客で認識されている価値がどのように異なるのかを分析するとマーケティングをすすめていく上で様々なヒントがみえてくるでしょう。
 
 

Nobuyuki Ohnaga

N.Ohnaga

株式会社アイスリーデザイン取締役、株式会社bridge代表、サービスデザイナー。日本にペルソナを導入した先駆的企業であるmct社のコンサルタントとして人間中心イノベーション手法を活用した商品開発、サービスコンセプトの構築、イノベーション人材育成といったプロジェクトをリード。2017年1月bridge.Incを設立。多様な業種、組織の200を超えるデザインプロジェクトの実践経験をノウハウとして体系化し、スタートアップや中小企業のイノベーションを支援する。2017年8月より株式会社アイスリーデザインに役員として参画。

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