プロダクトマーケティングの専門家PMMが解決:現場でよく聞く3つの課題

プロダクトマーケティングの専門家PMMが解決:現場でよく聞く3つの課題のサムネイル

プロダクト開発の現場では、変化する市場や顧客ニーズに常に対応することが求められています。特に、プロダクトマーケティングの観点においては、競争の激化や顧客要望の高まりを背景に、より迅速かつ柔軟な対応が欠かせません。

しかし、プロダクトが成長するにつれて考慮すべき要件が増加し、組織の複雑化が進むため、一筋縄ではいかない課題が浮上するのが現実です。

実際、多くの企業が以下のような課題をプロダクト開発の障壁として抱えています。

  • 顧客ニーズを把握できていない
  • 部門の壁に阻まれ、協力関係が築けていない
  • プロダクト横断の施策が機能していない

これらの課題解決の鍵をにぎるのがPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)という役割です。PMMを導入することで、開発サイドとビジネスサイドがシームレスに連携し、一貫したプロダクトの成長戦略を描くことができます。

この記事では、PMMの役割を紹介しつつ、課題を深掘りしています。また、それぞれの課題に対する具体的な解決策もご紹介していきます。

プロダクトの開発において悩みを抱えている方にとって、課題解決のヒントになれば幸いです。

そもそもPMM(プロダクトマーケティングマネージャー)とは?

プロダクト開発の現場でよく知られているのは、PdM(プロダクトマネージャー)、PM(プロジェクトマネージャー)、PO(プロダクトオーナー)といったポジションです。みなさんも聞きなじみがあるのではないでしょうか?

それぞれ以下のような違いがあります。

  • PdM(プロダクトマネージャー)
    PdMは、製品の全体戦略を策定し、開発からマーケティング、販売、改善までのプロセスを統括します。市場調査や競合分析を行い、顧客ニーズに基づいた製品戦略を立てることが主な業務です。PdMは製品のライフサイクル全体に責任を持ち、顧客満足度と企業利益の最大化を目指します。
    • 責任範囲:プロダクトのライフサイクル全体
    • 主な業務:
      • 市場調査と顧客ニーズの分析
      • 製品戦略の立案と進行管理
      • 製品改善や新機能の企画
  • PM(プロジェクトマネージャー)
    PMは、特定のプロジェクトの進行を管理する役割です。プロジェクトの計画、実行、監視、完了までの全体を統括し、納期や予算、品質を守ることが求められます。顧客とのコミュニケーションやチームメンバーの調整も重要な職務であり、問題が発生した際には迅速に対処する能力が必要です。
    • 責任範囲:特定のプロジェクト全体
    • 主な業務:
      • プロジェクト計画の作成とスケジュール管理
      • チームメンバーやステークホルダーの調整
      • リスク管理と課題解決
  • PO(プロダクトオーナー)
    POはアジャイル開発において重要な役割を果たし、製品のビジョンを明確にし、開発チームに対して優先順位をつけたバックログを管理します。顧客やステークホルダーとのコミュニケーションを通じてフィードバックを収集し、それに基づいて製品の方向性を調整します。POは開発チームと密接に連携しながら、価値ある機能を優先的に実装することが求められます。
    • 責任範囲:アジャイル開発チームおよび顧客やステークホルダー
    • 主な業務:
      • バックログの作成と優先順位付け
      • 開発チームへの要件伝達とサポート
      • 顧客やステークホルダーからのフィードバック反映

つまり、PdMは製品全体の成功に責任を持ち、PMは特定のプロジェクトの目標達成に焦点を当て、POは開発チームと連携し、開発プロセスをリードする役割です。

PMM(プロダクトマーケティングマネージャー)はプロダクトマネジメントの領域において、とりわけマーケティング戦略の立案・実行に重きを置いたポジションになります。

詳しくは次の章で述べますが、PMMの責任範囲や業務内容はPdMと近しいところにあります。PMMは製品の市場投入と普及に特化した役割であることが特徴です。主にマーケティング戦略の立案や実行を行い、製品の価値を顧客に効果的に伝えることが求められます。

GAFAをはじめとする海外の大手ソフトウェア企業では、重要な職種として知られているPMMですが、日本企業においては2019年頃からSaaS業界を中心に採用され始めた比較的新しい職種です。

PMMの成り立ちとPdMとの関係性

もともと市場分析やプロモーション戦略の立案など、プロダクト開発におけるマーケティング領域の業務はPdMが担当していました。いわゆる、プロダクトに関わるすべてのフェーズに責任を負うというのがPdMの役割というわけです。

しかし、プロダクトの売上規模や組織が拡大するにつれ、PdM1人ですべてのフェーズを管轄するのは難しくなります。そこで生まれたのが、PMMという新たなポジションです。

PdMが従来担っていた、

  • エンジニアリング
  • デザイン/UIUX
  • 製品企画
  • セールス
  • マーケティング
  • カスタマーサクセス

これらの役割のうち、より顧客に近い業務範囲である赤い文字の役割をPMMが担当します。

PdM1人体制の役割

PdM、PMM分業体制の役割

こうしたPdMとPMMの分業体制により、PdMの負担軽減につながるだけでなく、マーケティング領域の専門性が高められるというメリットがあります。複雑化する市場の変化に迅速に対応するためには、市場ニーズや顧客からのフィードバックを適切に製品開発につなげる動きが重要になります。

PdMとPMMの違いについてもっと詳しく知りたいという方はこちらをご覧ください。
PdMとは?プロダクトマネージャーの役割、必要スキル、PM・PMMとの違い

マーケティング戦略の中心となるPMMの具体的な役割

では具体的にはPMMはどんな業務を担当することになるのでしょうか?
簡単に整理してみます。

  • 市場調査と分析:
    • 顧客ニーズの把握
    • 競合分析
    • 市場トレンドの追跡
  • 製品戦略の立案:
    • ポジショニングとメッセージングの開発
    • プライシング戦略の策定
    • 製品ロードマップの作成
  • マーケティング施策の企画と実行:
    • GTM(Go-to-Market)戦略の立案
    • マーケティングキャンペーンの企画・監督
    • 販促物の作成
  • 社内外のコミュニケーション:
    • セールスチームへのトレーニングと支援
    • 顧客とのコミュニケーション
    • 社内の各部門との連携
  • パフォーマンス管理:
    • KPIの設定と管理
    • マーケティング施策の効果分析
    • 製品の成功指標のモニタリング

GTM(Go-to-Market)戦略とは?

新製品やサービスを効果的に市場に投入し、顧客獲得までのプロセスを最適化するための包括的な計画のこと。製品・サービスの認知度向上、リード創出、市場シェアの最大化、ブランドポジショニングの強化など、多様な目的を達成するために活用されます。

詳細な業務内容やPdMとの分担は、企業もしくはプロダクトの特性によって多少異なりますが、PMMは「顧客が本質的に求めるものを明らかにし、市場にどう伝えていくかまでをプロデュースするプロダクトマーケティングの専門家」といえます。

PMMの役割やメリット・デメリットについてもっと詳しく知りたいという方はこちらもご覧ください。
PMMとは?PdMとの分業体制でプロダクト成長を加速させる、今注目の職種を解説

▼PMMが自社にとって本当に必要なのかチェックしたい方はこちら
PMMチェックリスト

PMMチェックリストサンプル

PMMが必要とされる状況とは?プロダクト開発でよく聞く課題

前置きが長くなってしまいましたが、プロダクト開発におけるPMMの役割についてなんとなくイメージしていただけたでしょうか?

近年PMMを導入する企業が増え始めていますが、その理由は様々です。

PMMの導入は、組織の規模や成熟度、プロダクトの複雑さなどによって判断されますが、特定の課題や状況に直面している組織にとって、PMMの存在が大きな価値をもたらす可能性があります。以下では、PMMが特に効果を発揮する組織の特徴や、PMMによって解決できる典型的な課題について詳しく見ていきましょう。

【課題①】顧客ニーズを把握できていない

市場のニーズが多様化する中で、顧客のニーズを正確に把握し続けることはプロダクト開発における最も重要なプロセスといっても過言ではありません。しかし、顧客志向を掲げながらも、実際には顧客の真のニーズを十分に理解できていない企業が多く存在します。

プロダクト開発において顧客ニーズを把握できていない状況には、様々なケースが考えられます。

  • そもそも顧客のフィードバックを収集する仕組みが確立されておらず、分析するデータ量が不足している、もしくはデータの質が低い
  • 顧客の言葉そのままの具体的な欲求である「ウォンツ」を、顧客が持つ根本的な欲求や目的である「ニーズ」と誤認識したり、顧客自身も気づいていない潜在ニーズを見逃している
    • ウォンツとニーズの具体例:
      「ジムに通いたい」がウォンツ、「健康でありたい」がニーズ
  • 営業部門が抽出した顧客のフィードバックが、本来の意図通り(もしくは潜在ニーズに変換された形で)エンジニアに連携されていない

顧客ニーズに沿わない開発がもたらす影響

これらの状況の何が問題なのか、もう少し掘り下げて考えてみましょう。

プロダクト開発においてユーザー中心の考え方が重要視される理由は、それが顧客満足度の向上という大きなメリットにつながるからです。ユーザーのニーズや行動を理解し、それに基づいて設計することで、直感的に使いやすく満足度の高いプロダクトを提供できます。

次々に新しい製品が登場するデジタルプロダクトの世界においては、いかに競合と差別化し、リピート率の向上につなげるかが重要になります。そのためには、ユーザーニーズの本質理解とそのニーズを開発に反映し、絶えずアップデートしていく必要があります。

顧客からの要望が少なく、何を追加開発・改善すべきか分からないという状況は稀であり、多くの企業にとって課題となるのは、どの要望を優先的に反映すべきかの判断です。このような場合、追加開発には優先順位を付けて対応しますが、顧客ニーズを正確に把握できていないと、その優先順位付けが適切に行えなくなります。

顧客ニーズに合致しないまま、追加開発が続けられていても当然ながら顧客満足度も上がらず、売上も向上しないでしょう。このような状況では開発リソースの無駄遣いになってしまいます。

「市場とユーザーの代弁者」PMM

顧客ニーズが把握できていない原因として、大きく2つの点が考えられます。

一つはカスタマーフィードバックループの仕組み化ができていないこと、そして顧客のフィードバックを正しく分析できる人材がいないことです。

カスタマーフィードバックループとは?

顧客からのフィードバックを収集し、それに基づいて製品やサービスを継続的に改善するプロセスを指します。

通常、PdMがこの役割を担っていますが、開発に注力しがちで、マーケティング領域まで手が回っていない組織も多いのではないでしょうか。

これらを解決するのがPMMという役割です。

PMMは市場調査や顧客の声の分析を行い、市場で今求められているものは何か、そして顧客の本質的なニーズは何なのかを把握します。

具体的には以下のような手法を用います。

  • 4C分析などマーケティングフレームワークの活用
  • 市場調査とトレンド分析
  • VOC(Voice of Customer)分析
  • ユーザーインタビューの実施

単発的にユーザーのニーズを把握するだけではあまり意味がありません。市場の変化に対応していくためには、継続的にニーズを把握できるような体制を整えることが重要です。PMMは「市場とユーザーの代弁者」となり、営業、マーケティング、カスタマーサクセスといった各部門に顧客ニーズを伝えます。各部門と連携して、継続的に顧客の声を収集・分析、開発に反映するというサイクルを回していくことでカスタマーフィードバックループが確立されます。

カスタマーフィードバックループの図

顧客ニーズを正確に把握し、製品やサービスに反映させることは、競争が激化する市場での成功に欠かせません。PMMを中心としたカスタマーフィードバックループの構築により、企業は市場の変化に柔軟に対応し、顧客に価値を提供し続ける体制を整えることができます。これこそが、持続的な成長と顧客満足の向上を実現する鍵となるのです。

【課題②】部門の壁に阻まれ、協力関係が築けていない

特に起こりがちなのがエンジニアと営業の対立かと思います。

よくあるのが、営業が得意先から「こんな機能が欲しい」という要望を聞きエンジニアに伝えますが、開発側は技術的な実現可能性やリソースを理由に対応を後回しにしてしまうというケース。

この場合、営業サイドは「開発が顧客の声を無視している」と感じ、不満を募らせる一方で、開発側は「営業が現実的でない要求をしている」と考えるようになり、両者に対立関係が生じるようになります。

エンジニアと営業の対立関係を示した図

対立が起こる原因は、双方が見ている視点や目標が一致していないことにあります。

営業は目の前の顧客のニーズを基にした売上向上を目指すため、どちらかというと短期的な売上目標を重視しがちです。一方でエンジニアは技術的な実現可能性や運用・管理面で無理が生じないかといった点に焦点を当て、長期的なプロダクトの品質や機能性を重視しています。

プロダクトの成長には両者の効果的なコラボレーションが必要になりますが、そのためには互いの専門性を理解し合わないといけません。

また、エンジニアとマーケティングの間でも連携不足が度々見られます。

バージョンアップにて追加開発した機能に、経営方針に基づいた戦略的意図があったとしても、顧客向けのポータルサイトや営業資料、ウェブサイトにその意図が反映されていなければ顧客には伝わりません。このような状況は、情報共有の場が設けられていないことから生じます。

部門間の連携不足がもたらす影響

部門間の連携ができていない状況を言い換えると、開発・営業・マーケティング・カスタマーサクセスといった各部門がバラバラの視点で動いているということになります。

つまり、プロダクトを成長させるという事業部全体で目指すべき目標ではなく、部門ごと(あるいは個人)の目標達成が優先されているということです。この状態では効率的なプロダクトの成長からは遠ざかってしまいます。また、顧客ニーズのプロダクトへの反映が遅れることにより、顧客満足度や市場競争力の低下も招きかねません。

さらに、部門をまたぐ依頼事項に関して納得感が生まれないまま作業を進めることになると、社員間の信頼関係やモチベーションが損なわれてしまう可能性もあります。

変化の早い市場にプロダクトを適応させていくためには、限られたリソースを最適化し、いかに利益を最大化させるかが重要です。部門間の連携を強め、効率的なプロダクトグロースを目指すにはどうすればよいのでしょうか?

「部門間の橋渡し役」PMM

部門間の連携強化のためには、まず全体方針を策定し、それを組織内に浸透させることが不可欠です。部門が違っても目指すべき方向性を共通認識として持つことで、お互いを理解したり協力関係を築きやすくなります。また、判断の軸を設定することにより、課題の優先度がつけやすくなります。

PMMは、各部門の意見をとりまとめ、全体方針を策定し、共有するという「部門間の橋渡し役」となります。具体的には以下のような役割を担っています。

  • 意見のとりまとめ
    営業、開発、カスタマーサポートなど、異なる部門からの意見や要望を集約します。各部門はそれぞれ異なる視点を持っており、顧客ニーズや市場動向に対する理解も異なります。製品の技術的な側面や機能要件に焦点を当てるPdMとも連携しながら、PMMはこれらの多様な視点を統合し、全体としての方向性を明確にしていきます。
  • コミュニケーションの促進:
    PMMが中心となって定期的な情報共有の場を設けることで、部門間の理解が深まり、協力関係が強化されます。また、各部門の責任者が参加するプロダクト戦略ミーティングといった会議体をステアリングコミッティとして機能させることで、戦略の実行力向上にもつながっていきます。
  • マーケティング戦略の立案・言語化
    市場動向や顧客ニーズを分析し、それに基づいたマーケティング戦略を立案します。単なるデータ分析にとどまらず、戦略を顧客、そして社内にも伝わりやすい言葉で表現することが求められます。具体的には、ターゲット市場や競合分析を踏まえた上で、プロダクトの価値提案を明文化し、社内外に伝える役割を担います。
  • プロダクトロードマップの作成
    各部門からとりまとめた意見を反映し、プロダクトロードマップを作成します。これは、新機能や改善点をタイムラインに沿って整理したものであり、開発チームや営業チームが今後の方向性を理解するための重要なツールです。全体方針として社内で共有することで、チーム全体が同じ方向に向かって進むことができます。また、プロダクトライフサイクル全体を通して、一貫したメッセージを顧客に提供できるようになります。
マネーフォワードインボイス制度対応ロードマップ
例:マネーフォワードが過去に発表したインボイス制度対応におけるプロダクトロードマップ
(引用:https://corp.moneyforward.com/news/release/service/20221104-mf-press/

PMMの設置により、市場や顧客のニーズ、プロダクトの強みを反映した全体方針が定まり、部門間の円滑なコミュニケーションが実現されることでしょう。

【課題③】プロダクト横断の施策が機能していない

複数のプロダクトを持つ企業においてよく聞かれるのが、異なるプロダクト間での総合的な施策が上手く機能していないという課題です。たとえば、プロダクト間のデータ連携やUIの統一、クロスセル・アップセルの促進などがプロダクト横断の施策といえます。

このような施策を成功させるには、各プロダクトにおける市場・顧客ニーズの正確な把握や統一された戦略、リソース配分の最適化が必要になります。しかし、これらの判断をするためのデータが収集・分析できていないという企業が多いのではないでしょうか。

プロダクト間の連携不足がもたらす影響

そもそもマルチプロダクト戦略とは、以下のようなメリットを享受するために複数のプロダクトを展開することを指します。

  • 収益の多角化:
    複数のプロダクトを展開することで、特定のプロダクトの成長が鈍化しても、他のプロダクトが収益を補完し、リスク分散につながります。
  • 市場セグメントの拡大:
    様々なニーズを持つ顧客に対応することが可能となり、市場シェアの拡大や新規市場への参入が可能になります。
  • 競争力の強化:
    複数のプロダクトを統合的に提供することで、他社との差別化を図りやすくなります。
  • 顧客ニーズへの柔軟な対応:
    顧客の事情に合わせてサービスを展開しやすくなります。例えば、オールインワンのプロダクトを機能別に分割することで、顧客の導入障壁を下げることができます。

プロダクト間で連携が出来ておらず、横断施策が機能していないと、結果的に企業全体の競争力や市場適応力にも大きな影響を与えかねません。プロダクト間のシナジーを生み出せないことで、顧客に対する総合的な価値提供が制限され、結果として事業成長の機会を逃す可能性があります

マルチプロダクト戦略の効果を最大化できていない企業は、以下のような特徴を持っていることが多いです。

  • プロダクトごとのパフォーマンス分析・採算性の整理が出来ていない
  • 全社的なプロジェクト管理体制が整っていない
  • 施策優先度の決定プロセスや責任者が明確に定義されていない

プロダクトごとにPMMを設置することにより、こういった状況を改善することができます。

「プロダクト戦略の司令塔」PMM

プロダクト横断の施策となると、全社的なリソース配分やプロダクトごとの特性を踏まえたターゲットの決定など、経営層による総合的な判断が必要になるでしょう。的確な判断を下すためには、意思決定の材料となるプロダクトごとのデータ分析の結果が不可欠です。

ここでいうデータとは、収益性の評価に用いられるLTV(Life Time Value / 顧客生涯価値)、CAC(Customer Acquisition Cost / 顧客獲得コスト)、MRR(Monthly Recurring Revenue / 月次経常収益)などの指標にあたります。

修正規制の指標に用いられる3つの指標

PMMは担当するプロダクトのパフォーマンスをモニタリングし、経営層が各プロダクトの投資優先度や資源配分の最適化について意思決定するための判断材料を揃えます。また各プロダクトのPMMが協力して、プロダクトをまたがる顧客の利用状況を分析することにより、多角的な視点でプロダクトの改善点や新たなニーズを発見することが可能になります。

また、プロダクト横断の施策には自社の強みと市場ニーズの把握も重要です。PMMは各部門から意見を集約することで、自社の強みおよびポジショニングを明確化し、市場調査や顧客の声の分析を通して、それぞれのプロダクトを組み合わせたどんなマーケティングが効果的かを戦略立てます。

このように、PMMは「プロダクト戦略の司令塔」として、プロダクト横断のマーケティング戦略にも責任を持ち、全社的な視点で経営全体の効率向上と利益の最大化に貢献します。

まとめ

この記事では、プロダクト開発でよくある課題に焦点を当て、PMMを設置することによる解決策を紹介しました。ただし、市場環境や企業規模、プロダクトの成長ステージによってプロダクト開発における課題は千差万別です。課題に応じてPMMの役割も柔軟に変化させるべきであると考えています。自社ではどのような形でPMMを設置すべきなのかを検討する際のヒントにしていただければ幸いです。

アイスリーデザインでは、PMMが必要とされる状況かどうかの判断に役立つ10項目の「PMMチェックリスト」を公開しています。開発・営業・カスタマーサクセス・戦略の4つの観点から、プロダクト開発の現場で起こりがちな課題の具体例を挙げています。

プロダクト開発において「上手くいかないボトルネックがどこにあるのか知りたい」「なんとなく課題は把握しているが、具体的な解決策が分からない」という方はぜひご活用ください。

アイスリーデザインでは、企業がPMMを設置した体制をスムーズに導入できるように、立ち上げの支援と最終的な内製化を見据えた伴走支援を行っています。PMM伴走支援に関する具体的なご相談も承っておりますので、こちらからお気軽にお問い合わせください。

ABOUT US
in-Pocket編集部
デザインとテクノロジーに関する情報を発信するアイスリーデザインのオウンドメディア、"in-Pocket"の編集部です。テクノロジー・デザイン関連の解説記事やビジネス戦略にまつわるインタビュー記事などを投稿しています。日々の業務における知識のインプットとしてぜひお役立てください!
  • Contact

    お問い合わせ

    アプリやシステム開発、UIUX改善など、お客さまのビジネスを成功に導いたサポート実績が多数ございます。お気軽にお問い合わせください。

  • Download

    資料ダウンロード

    私たちのノウハウや業界別の事例など、提供するサービスについて詳細にまとめた資料になります。ぜひご一読ください。

  • Mail magazine

    メールマガジン

    UI/UXデザイン・システム内製化・DX推進についてのお役立ちメソッドや、限定イベントや最新事例などをお届けします。