こんにちは、in-Pocke編集部です!
今回は「CI/CD」について深掘りします。日々の開発現場で感じる煩雑な作業をスムーズにし、効率アップを目指すこの手法、実は意外とシンプルなんです。そんなCI/CDの魅力をわかりやすく解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください!
目次
1. CI/CDの基本をおさらい
まずは基本の部分について、おさらいしていきましょう。CI/CDってそもそも何か?そして何の略であり、それぞれはどのような意味合いを持つのか、この章で見ていきたいと思います!
1.1 CI/CDって何?目的と意味を一言で言うと
CI/CDは、ソフトウェア開発のプロセスを効率化するための手法です。継続的インテグレーション(CI:Continuous Integration)と継続的デリバリー/デプロイメント(CD:Continuious Delivery/Development)の二つの側面から成り立ち、チームの生産性向上や品質向上を支援します。その目的は、コード変更の頻度を高めつつ、リスクを減らし、迅速に製品をユーザーに届けることにあります。
1.2 継続的インテグレーション(CI)の流れを簡単解説
CIのプロセスは前述のとおり、非常にシンプルなものです。大きなポイントはコミット・自動ビルド・自動テストの3つとなり、開発者がリポジトリにコードをコミットすると、自動ビルドと自動テストが即座に行われるという流れになってます。この一連の流れにより、バグの早期発見が可能となり、修正コストを最小限に抑えることができます。以下で、もう少し具体的にCIの流れを説明しますね。:
- コードのコミット: 開発者がソースコードの変更をバージョン管理システム(GitHub、GitLab等)にプッシュします。
- 変更の検知: CIツールが、自動的にコードの変更を検知します。
- 自動ビルド: 検知された変更に基づいて、CIツールが自動的にビルドプロセスを開始します。
- 静的コード解析: ビルド後、コードの品質やセキュリティの問題を検出するための静的解析が行われることがあります。
- 自動テスト: ビルドが成功した後、様々な種類の自動テストが実行されます。
- ユニットテスト
- 統合テスト
- システムテスト
- 回帰テスト
- 結果の報告: テストの結果が開発チームに自動的に報告されます。
- コードの統合: すべてのチェックに合格したコードが、メインブランチ(マスターブランチやトランク)に統合されます。
- 成果物の生成: 必要に応じて、デプロイ可能な成果物が生成されます。
1.3 CD ~継続的デリバリーと継続的デプロイメントとは~
CDは、前述のとおり、継続的デリバリーと継続的デプロイメントの2つを意味します。それぞれの意味となぜ、同じ略称を持っているのかを説明します。
継続的デリバリー(Continuous Delivery)は、コード変更の統合、テスト、そしてリリース可能な状態までの準備を自動化するプロセスです。リリースが可能な状態まで自動的に準備します。一方、継続的デプロイメント(Continuous Deployment)は、継続的デリバリーの拡張版であり、本番環境へのデプロイを自動化します。これにより、迅速なリリースサイクルが実現されます。多くの組織において、継続的デリバリーから始まり、継続的デプロイメントへと移行するため、一連の流れとして、どちらも同じ略称「CD」が使われています。「迅速なリリースサイクルを実現する」という目的においても共通しているといった点でも「CD」とまとめて称されるようです。
2. 導入前後のギャップと現実
2.1 手動プロセスの罠
CI/CDを導入していない場合、手動での作業となるため、非効率であるという側面があります。手動テストの非効率性や手動デプロイによるリスクと遅延はCI/CDを導入していない開発チームの多くが抱える課題です。手動となると、逐一テストを実施するのもはばかられ、テストの頻度が減少し、精度も低く、バグが見逃されるリスクも上がります。このような状況を打開するためにCI/CDの導入が必要となりますが、ただ導入するだけでは上手くいきません。
2.2 CI/CD導入後の落とし穴
また、CI/CDを導入したからといって、すべての問題が解決するわけではありません。CIとCDの違いを正確に理解していないことで誤解が生じたり、すべてのプロジェクトに適用できるわけではないという現実にも直面します。例えば自動化の基準を明確に決めなければ、無駄な工程で自動化されてしまったり、適切なタイミングでビルド、デプロイなどが行われなくなってしまいます。道具は使いようですし、CI/CDもかなり便利なものではありますが、1つの道具です。だからこそ、どんなものを使うのか、どういう活用の仕方ができるのかなど、理解することが必要不可欠です。このような課題を乗り越えるためには、チーム全体の理解と適切なツールを選択していく必要があります。
3. CI/CDのツール選び
3.1 CI/CDツール選定のポイント
では適切なツール選びのため、CI/CDツールの選定ポイントを見ていきましょう。
今回、CI/CDツールを選定する際の考慮すべきポイントとして下記7点にまとめました。順に紹介していきます。
1. 必要な機能があるか
まず、プロジェクトに必要な機能を備えているか確認することが重要です。具体的には以下の点をチェックします。
- CI/CDパイプラインの設定やカスタマイズ機能が充実しているか
- 自動テストのサポートがあるか
- 複数のプラットフォームへのデプロイに対応しているか
- ツールの拡張性があるか
2. スケーラビリティ
プロジェクトが成長した際に対応できるスケーラビリティがあるかどうかも重要です。大規模なプロジェクトやチームが増えた場合でも、ツールがパフォーマンスを維持できるか確認します。
3. セキュリティ対策
近年紛糾するセキュリティについては、CI/CDツール選定においても非常に重要なポイントです。以下の点を確認しましょう。
- ソースコードの暗号化や監査ログなどのセキュリティ機能があるか
- ツールが最新のセキュリティパッチを適用しているか
4. サポート体制
ツールの導入や運用において問題が発生した場合に迅速かつ的確なサポートを受けられるかどうかも重要です。
- ドキュメントやマニュアルの充実度
- サポート窓口の対応時間や方法
- ユーザーコミュニティの活発さ
- 有償サポートプランの有無や内容
5. コスト
導入コストや運用コストは、言わずもがな、考慮すべきポイントです。オープンソースツールは導入コストが低い一方で、クラウドベースのツールは利用料が発生することがあります。
- 初期導入コスト
- ライセンス費用
- 運用コスト
6. リソースの確保
CI/CDの導入には予算、期間、人材が必要です。特に有識者がいない場合、スムーズな移行やトラブル対応が難しくなるため、導入前にリソースを確保することが大切です。
7. 適切なツールの選定
開発チームに合わせて適切なCI/CDツールを選定することが重要です。対応環境や自動化できる範囲がツールによって異なるため、チームのスキルセットやプロジェクトの要件に合ったツールを選びましょう。
上記のポイントを考慮し、プロジェクトに最適なCI/CDツールを選定し、運用することで効率的な開発プロセスを実現することができます。
3.2 どれを選ぶ?CI/CDツール比較
これらのツールは、それぞれ独自の特徴を持っており、プロジェクトの要件や開発環境に応じて選択することが重要です。Jenkinsは高い拡張性と柔軟性が特徴ですが、他のツールはクラウドベースでより簡単に導入できる傾向があります。今回は3つほど紹介しますね。
Jenkins
Jenkinsは、オープンソースで無料で利用可能なCI/CDツールです。Jenkinsの最大の特徴は、1400以上の豊富なプラグインによる高い拡張性です。これにより、Jenkinsは単なるCIツールに留まらず、プロジェクトのビルド、デプロイ、テスト、モニタリングなど、様々なワークフローをカスタマイズできます。
ただし、Jenkinsはオンプレミス型のツールであり、インフラ管理が必要です。
- オープンソースで無料で利用可能
- 1400以上の豊富なプラグインにより高い拡張性を持つ
- Java言語で開発されており、Javaが動作する環境であれば利用可能
- オンプレミス型で、インフラ管理が必要
- 定期実行やスケジュール実行が可能
- 実行結果の保存や実行履歴の管理ができる
CircleCI
https://circleci.com/ja/
CircleCIは、クラウドベースのCI/CDツールであり、主にGitHubやBitbucketといったバージョン管理システムとの連携を強みにしています。CircleCIは、コンテナ技術を活用しており、ビルドやテストのプロセスを高速に実行できます。クラウド環境での開発が進んでいるチームや、インフラ管理に手間をかけたくない場合には有力な選択肢です。
- クラウドベースのCI/CDツール
- GitHubやBitbucketとの連携が容易
- コンテナ技術を活用し、高速なビルドとテストが可能
- 設定ファイルによる簡単なワークフロー定義
- 無料プランと有料プランがあり、小規模から大規模プロジェクトまで対応
Travis CI
Travis CIは、GitHubとの連携に特化したCI/CDツールです。Travis CIはオープンソースプロジェクトに対して無料で提供されており、多くの開発者に支持されています。GitHubリポジトリを中心としたプロジェクトや、複数の環境でのテストが必要な場合に適しています。
- GitHubとの連携に特化したCI/CDツール
- YAML形式の設定ファイルで簡単に構成可能
- オープンソースプロジェクトに無料で提供
- 多言語対応(Ruby, Node.js, Python, PHP, Java など)
- ビルドマトリックスによる複数環境でのテストが容易
4. CI/CDがビジネスに与えるプラスの影響
CI/CDの導入によって、ビジネスに多大な恩恵がもたらされます。CI/CDの導入で、市場投入までの時間短縮や迅速なフィードバックとリリースサイクルが実現できます。つまり、ユーザーのニーズに迅速に対応することができるようになるので、顧客満足度の向上に直結します。バグが減少し、システムの安定性が向上することで、運用コストも削減できる、といったように、顧客・開発者・企業3社ともに、それぞれ得られるメリットが多くあります。
5.まとめ
ここまで説明してきたように、CI/CDは、ソフトウェア開発のプロセスを劇的に改善する手法です。自動化とアジャイルな開発文化を取り入れることで、企業は市場での競争力を高め、迅速かつ高品質な製品を提供することが可能になります。これからのプロジェクトにおいても、CI/CDの重要性はますます高まっていくと考えられます。
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