UXリサーチは、AIと“分業”する時代へ──効率と深さを両立する実践ノウハウ

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プロダクト開発において、ユーザー体験(UX)の質は、成功を左右する大きなカギです。どんなに機能が優れていても、ユーザーが使いにくいと感じれば、そのサービスは選ばれません。

とはいえ、UXを高めるために欠かせない「UXリサーチ(ユーザー調査)」には、さまざまなハードルがあります。時間がかかる、コストが高い、専門スキルを持つ人材が足りない……といった課題です。こうした背景から、十分なリサーチを行わないまま開発を進めるケースも少なくありません。

実際、あるIT企業の調査では、リソース不足によってリサーチ実施が難しい状況も報告されています。その結果、開発の後半で仕様の手直しが必要になったり、ユーザーのニーズからズレたサービスになってしまったりするリスクが高まっているのです。

そこで今、注目を集めているのが、AIツールを活用したUXリサーチの効率化です。ChatGPTやClaude、Midjourneyなどの生成AIをうまく使うことで、リサーチにかかる時間を最大で60%削ることができた事例も出てきています。

私たちアイスリーデザインでも、すでにさまざまなプロジェクトでAIを取り入れたUXリサーチに取り組んでいます。定性インタビューの要約・分析やユーザー行動の自動分類、仮説設計の補助など、その活用方法は多岐にわたります。

本記事では、そうした現場での経験もふまえながら、AIを活用したUXリサーチの具体的なやり方や導入事例、さらに活用する際のポイントまで、わかりやすく紹介していきます。

目次

UXリサーチにおけるAI活用の基本的な考え方

UXリサーチにAIを上手に取り入れるには、「AIが得意なこと」「人間だからこそできること」をきちんと切り分けることが大切です。

まず、AIが活躍しやすいのは、以下のようなスピードや量が求められる作業です。

  • 大量のテキストデータを短時間で処理・分析する
  • ユーザーの発言や行動のパターンを見つける
  • アイデアや選択肢をたくさん出す(ブレスト支援)
  • ルールに沿った単純作業を自動化する

一方で、人間が担うべき役割は、より繊細で高度な判断を必要とする部分です。

  • リサーチの目的や戦略を考える
  • 文脈や空気感を読み取る
  • ユーザーの感情に寄り添い、深いニーズを探る
  • 倫理的な配慮や、ビジネスの方向性とのバランスを見極める

UXリサーチにAIを取り入れる際は、全体の流れを意識することがポイントです。以下のように、各工程でAIと人間の役割をうまく使い分けると、スムーズに進められます。

次の画像のように、「AIは効率化ツール、人間は意思決定の主体」としてバランスを取ることで、UXリサーチはもっとスピーディーに、かつ深く行えるようになります。

UXリサーチのステップの図

AIで変わるUXリサーチの進め方

UXリサーチの各ステップにAIを取り入れることで、時間と労力を大きく削りながら、深いインサイトも得やすくなります。

1. リサーチ計画と質問設計

UXリサーチの最初のステップである「リサーチ計画」や「質問設計」は、AIを使うことでぐんと効率よく進められます。

活用例
  • ユーザーインタビューの質問リスト自動生成
  • スクリーニング質問の作成
  • リサーチ目的に応じた仮説立案

2. 参加者集めとスクリーニングの自動化

UXリサーチで信頼できる結果を得るには、「誰に話を聞くか」がとても重要です。適切な参加者を見つけるための工程も、AIを使えば大幅に効率よく進められます。

活用例
  • スクリーニング質問をAIが自動で作成
  • 参加者プロフィールの偏り分析
  • 日程調整や事前説明を自動化

3. インタビューの書き起こしと分析

UXリサーチの中でも、とくに時間がかかるのが「インタビュー内容の書き起こし(トランスクリプション)」「その後の分析」です。ここにもAIを活用することで、大幅な時短と効率化が実現できます。

活用例
  • 音声認識AIで録音を数分で高精度テキスト化。
    ☞1件あたり3〜4時間かかっていた作業が30分に短縮した事例も
  • 感情分析やテーマ抽出
    ☞10件のインタビュー分析が従来の2日から3時間に短縮された事例も

4. ペルソナとシナリオ作成

UXリサーチでよく使われる「ペルソナ」や「ユーザージャーニーマップ」は、ユーザー理解を深めるために欠かせないツールです。しかし、これらの作成にはかなりの時間と労力がかかるのも事実です。AIの力を借りれば、こうしたプロセスも効率よく、スピーディーに進められるようになります。

活用例
  • 調査データからすばやくペルソナを生成
  • ビジュアルの自動生成でイメージを共有
    画像生成AI(Midjourney、DALL-E等)でペルソナの人物像を視覚化し、チーム内での共通認識を促進。ユーザーの行動・思考・感情の流れも詳細に描けます。

5. プロトタイプ作成と検証

ユーザーの課題に応えるアイデアを形にする「プロトタイピング(試作品づくり)」は、UXリサーチの中でも重要な工程です。これまで時間や手間がかかっていたこのプロセスも、AIを使えば驚くほど効率的に進められます。

活用例
  • ユーザーニーズをもとにUIスケッチを自動生成
  • A/Bテスト用の複数パターンを手軽に作成
  • ユーザビリティの初期チェックを自動化
    ニールセンの10ヒューリスティクス原則に基づくユーザビリティチェックも自動化できます。

6. レポート作成と提案書づくり

UXリサーチの最後のステップとして欠かせないのが、結果をまとめて関係者に伝える「レポーティング」や「提案書の作成」です。この工程にも、AIを活用することで大きな効率化が期待できます。

活用例
  • 発見をもとにレポートの骨組みを自動で提案
  • 資料に挿入するビジュアルの生成
  • 経営層向けのエグゼクティブサマリーを簡潔に作成

実践的なワークフロー

ここまでご紹介してきた手法や事例をふまえ、実際のプロジェクトですぐに使えるAI活用ワークフローをご紹介します。AIを取り入れることで、UXリサーチはもっとスムーズで効果的なプロセスになります。

「リサーチ設計」フェーズ(所要時間の目安:1〜2日)

UXリサーチのステップの図_ステップ1 リサーチ設計

まずは、リサーチの方向性をしっかり固めるところからスタートです。人の判断とAIの分析をバランスよく組み合わせながら進めていきます。

リサーチの目的と範囲を明確にする(人間中心)

最初に大切なのは、何を明らかにしたいのか、その目的をはっきりさせることです。

  • ビジネス目標にどのような影響を与えたいかを明確にする
  • 成功をどう判断するか、具体的な指標(KPI)を設定する
  • リサーチの「深さ」や「どこまで調べるか」の範囲を決める

これらの方針がブレないことで、以降の調査がスムーズに進みます。

既存データをAIで先に整理する(AI主導)

続いて、すでに持っているデータをAIに分析してもらい、リサーチの土台を作ります。
たとえば、顧客サポートの履歴やアプリストアのレビュー、過去のアンケート結果などをまとめて読み込ませることで、共通する課題や新たな気づきをすばやく抽出できます。

プロンプト例

以下の顧客サポートチケット、アプリストアレビュー、過去のユーザーアンケート結果を分析し、以下の観点で整理してください:

1. 繰り返し言及されている上位5つの問題点
2. ユーザーセグメント別の特徴的な課題
3. 競合サービスとの比較で言及されている点
4. 要望が多いが未実装の機能

分析結果に基づいて、優先的に調査すべき3〜5つの仮説を提案してください。

リサーチ計画を最適化する(AIのサポートを活用)

AIが出してくれた仮説をもとに、具体的なリサーチ計画を立てます。

  • 仮説に合わせて、適した調査手法(インタビュー、アンケートなど)を選ぶ
  • ユーザーインタビューで使う質問リストを、AIに自動で作ってもらう
  • 効率的に情報を引き出すための質問設計やスクリーニング条件(対象者の絞り方)をAIに手伝ってもらう
  • チームのリソースや時間に合わせて、負担の少ない進め方を検討する
プロンプト例

以下のリサーチ目的に基づいて、30分のユーザーインタビューで使用する10〜15の質問リストを作成してください。質問は具体的な行動や経験を引き出すオープンエンド型とし、バイアスがかからないよう配慮してください。

【リサーチ目的】
オンライン食料品宅配サービスのチェックアウトプロセスにおける摩擦ポイントを特定し、コンバージョン率を向上させるための改善策を導き出す。

【ターゲットユーザー】
サービスを月1回以上利用している30〜50代の共働き世帯

このような方法を使うことで、質問設計にかかる時間が従来の3分の1に短縮された例もあります。また、過去の調査結果や既存のデータをAIに読み込ませると、検証すべき仮説をいくつも提案してくれます。チームでアイデアを出し合う”ブレインストーミング”の効率も上がりますし、思いがけない切り口の仮説が出てくるのもAIならではの魅力です。

ほかにも、こんな使い方ができる

UXリサーチで信頼できる結果を得るには、「誰に話を聞くか」がとても重要です。適切な参加者を見つけるための工程も、AIを使えば大幅に効率よく進められます。

  • スクリーニング質問をAIが自動で作成

リサーチの参加条件に合う人を見つけるためには、「スクリーニング質問」が欠かせません。AIに製品の特徴やターゲットとなるユーザーの情報を入力することで、それに合ったスクリーニング質問を自動で作ることができます。これまでは経験豊富なリサーチ担当者の勘や知見が必要だった部分も、AIのサポートで効率化が進みます。

  • プロフィール分析で多様性のある参加者を確保

AIを使えば、集まった参加者候補のプロフィールを分析し、偏りを見つけることも可能です。たとえば、似たような年代や属性の人に偏っていないか、経験にバラつきがあるかなどをチェックしてくれます。そのうえで、より多様な視点を持つ人を推薦してくれるので、リサーチの内容が一層深く、バランスの取れたものになります。

  • 日程調整や事前説明も自動化できる

参加者とのスケジュール調整や、リサーチ前の説明といった管理作業にもAIは活躍します。日程調整ツールと連携させることで、やりとりの手間が減り、リサーチ準備がスムーズになります。

「データ収集」フェーズ(所要時間の目安:3〜5日)

UXリサーチのステップの図_ステップ2 データ収集

質の高いUXリサーチには、正確で多様なデータの収集が欠かせません。このフェーズでは、参加者の確保からインタビューの実施、オンライン上の情報収集までを効率よく進めていきます。AIの力を借りることで、時間をかけずに必要なデータが集められます。

参加者募集とスクリーニング(AI支援)

まずは、調査にふさわしいユーザーを集めるところから始めます。

  1. AIでプロフィールを自動生成し、多様なユーザー像を確保
  2. 製品特性に合わせたスクリーニング質問(参加対象の絞り込み)もAIが自動で作成
プロンプト例:プロフィール自動生成

フィットネスアプリのユーザーリサーチを実施します。以下の条件で多様な参加者プロフィールを10パターン作成してください:

– 年齢層:20-50代
– 運動経験:初心者〜上級者
– ライフスタイル:会社員、主婦、学生など
– 健康意識レベル:低〜高

各プロフィールには、名前、年齢、職業、運動習慣、健康への関心度、利用デバイスを含めてください。

プロンプト例:スクリーニング質問作成

オンライン英会話サービスのユーザビリティテスト参加者を募集します。以下の条件に適した参加者を選別するためのスクリーニング質問を10問作成してください:

– 英語学習歴1年以上
– 週2回以上オンライン学習ツールを使用
– 年齢25-45歳
– スマートフォンまたはタブレットでの学習経験あり

質問は選択式と記述式を組み合わせ、回答時間5分以内で完了できるよう設計してください。

インタビューの実施(人間中心)

インタビューそのものは人が行いますが、AIの力を借りることで、より質の高い対話が実現します。

  • あらかじめAIが作成した質問ガイドをベースに進行
  • 会話中にはリアルタイム音声認識AIがメモを自動で取り、漏れを防ぎます
  • 対話型AIにより、その場でフォローアップ質問の提案も可能に
プロンプト例:質問ガイド作成

家計簿アプリのユーザーインタビューを実施します。60分のインタビュー用質問ガイドを作成してください:

– 導入(5分):アイスブレイク、調査目的説明
– 現在の家計管理方法(15分):習慣、ツール、課題
– アプリ使用体験(25分):操作感、満足度、改善点
– 将来のニーズ(10分):期待する機能、利用シーン
– まとめ(5分):追加コメント、質問

各セクションに主要質問3-5個、掘り下げ用の追加質問を含めてください。

自動でテキスト化&要約(AI主導)

最近の音声認識AIを使えば、録音したインタビューを数分で高精度にテキスト化できます。さらに、話の要点を要約することも可能です。これにより、リサーチ担当者は書き起こしに時間を取られることなく、本来の「分析」に集中できます。

あるECサイト運営企業では、OpenAIの「Whisper API」を活用し、週5回のユーザーインタビューを書き起こしから自動化。従来は1件あたり3〜4時間かかっていた作業が、わずか30分ほどで終わるようになりました。

オンラインデータ収集の自動化(AI主導)

インタビューだけでなく、Web上のデータも重要なリサーチ資源です。

  • SNSや口コミサイトをAIで自動分析し、リアルなユーザーの声を収集
  • 競合サービスのレビューも分析し、自社との比較ポイントを明確化
  • ユーザーレビューなどのテキストデータも自動で整理・要約できます

AIを活用することで、目視では見落としがちな傾向や課題も浮かび上がります。

プロンプト例:SNS・口コミ分析

フードデリバリーアプリに関する以下のソーシャルメディア投稿100件を分析してください:

1. 感情分析(ポジティブ/ネガティブ/ニュートラルの割合)
2. 頻出キーワード(TOP20)とその文脈
3. 主要な不満点と満足点(カテゴリ別)
4. 年代・地域別の傾向(推定できる範囲で)
5. 競合サービスとの比較言及
6. 改善提案につながるユーザー要望

結果は表形式とグラフで視覚化し、アクションプランの優先度も示してください。

「データ分析」フェーズ(所要時間の目安:2〜3日)

UXリサーチのステップの図_ステップ3 データ分析 

集めたデータをどう読み解くかが、UXリサーチの質を大きく左右します。このフェーズでは、AIによる高速処理と、人による解釈を組み合わせて、精度の高い分析を行います。

AIを使えば、インタビューだけでなく、アンケート結果、ユーザビリティテストの記録、アプリのレビューなど、さまざまな情報をまとめて分析することも可能です。複数のデータソースを組み合わせることで、共通する課題や新しい気づきを見つけやすくなります。結果として、より説得力のあるリサーチ結果につながるのです。

以下のような方法で、10件のインタビュー分析にかかっていた時間が、従来の2日からたった3時間に短縮された事例もあります。

データの整理と統合(AI主導)

まずは、複数のデータソースをまとめて処理し、土台を整えます。

  1. インタビュー録音を自動で書き起こし(トランスクリプション)し、要点を要約
  2. アンケート、レビュー、SNSの投稿などをひとつに統合
  3. 初期段階のコーディング(分類)もAIが対応し、テーマごとに整理された状態をつくります

パターン抽出とテーマの整理(AI支援)

データの全体像が見えてきたら、AIを使って重要なテーマや傾向を抽出します。分析結果から、人の目だけでは見えにくい関係性や洞察を発見できます。

プロンプト例

添付した8件のインタビュートランスクリプトを分析し、次の作業を行ってください:

1. 共通するテーマや課題を抽出し、出現頻度と重要度でランク付け
2. ユーザーセグメント別の特徴的な意見や行動パターンの特定
3. 感情分析に基づく満足/不満足ポイントのマッピング
4. 行動パターンと発言内容の一致/不一致の検出

最後に、これらの分析から得られた主要な5つのインサイトを、その根拠となるユーザー発言の引用とともに提示してください。

感情やテーマの分析をより詳細に

AIは、ただ話を文字にするだけでなく、その中身を分析することもできます。たとえば以下のようなプロンプトを使えば、感情の動きやユーザーの要望まで整理できます。

プロンプト例

以下のインタビュートランスクリプトを分析し、以下の観点で整理してください:

1. 主要なテーマやトピック(出現頻度順に5つ)
2. ポジティブな感情が表現された箇所とその文脈
3. ネガティブな感情や不満が表現された箇所とその文脈
4. 具体的なユーザーの要望や提案
5. 特に強い感情を伴った発言や繰り返し言及された点

また、これらの分析結果から考えられる3〜5つの主要なインサイトを導き出してください。

インサイトの精査と深掘り(人間中心)

AIが提示したインサイトをもとに、チームでの解釈や方向性の確認を行います。

  • 提出された分析結果を批判的に検討し、妥当性を見極める
  • チームで意味づけや優先順位を話し合うことで、深みのある結論に
  • ビジネス目標と整合しているかをチェックし、次のアクションにつなげます

アウトプット作成フェーズ(所要時間の目安:2〜3日)

UXリサーチのステップの図_ステップ4 解釈と統合・初期検証、ステップ5 アクション策定

リサーチで得た気づきを、わかりやすい形で伝えるアウトプットへと仕上げていきます。このフェーズでは、AIの力を借りながら、ペルソナやプロトタイプ、最終レポートまでを一気に作成。効率的かつ見やすい成果物づくりが可能になります。

ペルソナとシナリオの作成(AI支援)

UXリサーチで集めたデータをもとに、ユーザー像やその行動の流れを具体的に描き出します。

  • 調査結果をAIに読み込ませることで、リアルなペルソナ(代表的なユーザー像)を自動で生成
  • ユーザーの行動や感情の変化を時系列でまとめたユーザージャーニーマップも、効率よく作成できます
  • 画像生成AI(MidjourneyやDALL·E、Stable Diffusionなど)を使えば、ユーザー像のビジュアル化もスピーディーに実現
プロンプト例:ペルソナ作成

以下のユーザー調査データに基づいて、4つの主要ペルソナを作成してください。各ペルソナには以下の要素を含めてください:

– 基本属性(年齢、職業、家族構成など)
– 目標と動機
– 主な課題と不満
– 行動パターンと習慣
– 当社製品の利用文脈
– 代表的な引用(実際のユーザー発言に基づく)

各ペルソナは明確に区別し、調査データに見られる主要なユーザーグループを代表するものにしてください。

プロンプト例:ペルソナのビジュアル化(Midjourney)

A professional portrait of a 42-year-old Japanese male marketing director in business casual attire, looking slightly tired but determined, in his modern office environment. Semi-realistic illustration style, soft lighting, showing his busy lifestyle, high quality, detailed.

※Midjourneyのプロンプトは英語入力が推奨されています。日本語訳は下記。

42歳の日本人男性マーケティング部長。ビジネスカジュアル姿でやや疲れた表情ながらも意志が強そうな印象。現代的なオフィスで働く姿。セミリアルなイラスト、柔らかい光、忙しさを表すディテール付き。

プロトタイプの迅速な作成(AI支援)

アイデアを形にし、実際に試してみるフェーズです。

  • AIにインサイトを入力することで、UIのコンセプト案を複数生成可能
  • デザインバリエーションも自動で展開できるため、A/Bテスト用の素材を短時間で用意できます
  • 作成したプロトタイプをもとに、初期段階のユーザビリティ評価までAIが対応してくれます

ユーザビリティの初期チェックもAIで自動化(AI支援)

作成したプロトタイプが、使いやすさの観点でどこに課題があるのか。この初期チェックも、AIに任せることができます。たとえば、ニールセンの「10のユーザビリティヒューリスティクス(使いやすさの基本原則)」に基づいて、AIが自動で評価してくれる手法があります。

プロンプト例

添付したUIデザインをニールセンの10ヒューリスティクス原則に基づいて評価し、潜在的な問題点と改善提案を挙げてください。特に、システム状態の可視性、ユーザーコントロールと自由度、一貫性と標準化、エラー防止の観点を重視してください。

最終レポートとプレゼン資料の作成(AI支援)

リサーチ結果を関係者に共有するためのレポートやスライドも、AIの力でスムーズにまとめられます。

  • 構造化されたレポートを自動生成し、要点を見やすく整理
  • 図やグラフといった視覚的な要素も自動で提案・作成
  • 経営層に向けたエグゼクティブサマリー(要約)も、簡潔に仕上げられます
プロンプト例

以下のUXリサーチレポートを、意思決定者向けの1ページのエグゼクティブサマリーに要約してください。主要な発見事項、ビジネスインパクト、推奨される次のアクションに焦点を当て、データに基づく根拠を簡潔に含めてください。

実装支援フェーズ(継続的なサイクル)

UXリサーチのステップの図_ステップ7 継続的改善・監視

アウトプットで終わりではなく、その後の実装と改善にもAIが役立ちます。
ここからは、リサーチ結果を実際のプロダクトに落とし込む段階です。

設計ガイドラインへの反映(AIが支援)

リサーチから得たインサイトを、具体的な設計ルールや要件に落とし込みます。

  • ユーザーの課題やニーズを、デザインの原則に翻訳
  • ボタンの配置や文字サイズなど、UIに関する要件を文書化
    実装漏れを防ぐために、チェックリスト形式で整備することも可能です
プロンプト例:リサーチインサイトのデザイン原則化

以下のユーザーリサーチインサイトを、具体的なデザイン原則に翻訳してください:

リサーチ結果:
– 60代以上のユーザーが「文字が小さくて読みづらい」と回答(85%)
– スマホ操作に慣れていないユーザーが「ボタンが小さくて押し間違える」と発言(73%)
– 複数ステップの操作で「今どこにいるかわからなくなる」との声(67%)
– 専門用語が多くて「意味が理解できない」との指摘(78%)

求める形式:
1. デザイン原則(簡潔で覚えやすい表現)
2. 具体的な実装ガイドライン
3. 測定可能な基準値
4. NG例とOK例

各原則には、元となったユーザーの声も併記してください。

プロンプト例:UIに関する要件をチェックリスト化

ECサイトの商品購入フローについて、UXリサーチで判明した課題をもとに実装チェックリストを作成してください:

対象フロー:商品検索→詳細確認→カート追加→決済→完了
主要課題:離脱率が高い、操作に迷う、エラー頻発

チェックリスト項目:
– デザイン要件(各画面5-7項目)
– 機能要件(各ステップ3-5項目)  
– パフォーマンス要件(読み込み時間、応答性)
– エラーハンドリング要件
– アクセシビリティ要件
各項目には確認方法と合格基準も含めてください。QAチームが使える形式で整理してください。

継続的なユーザーフィードバック分析(AIが主導)

リリース後の改善も、AIを活用すれば素早く、的確に対応できます。

  • ベータテストやソフトローンチ段階で集まったフィードバックを自動で分析
  • ユーザーの反応から改善点を早期に発見し、優先順位づけまで実施
  • 変更による影響をAIが予測してくれるため、改善の効果を事前に把握しやすくなります
プロンプト例:ベータフィードバック自動分析

リリース予定のタスク管理アプリについて、ベータテスター200名から集まったフィードバックを分析してください:

分析対象:
– アプリストアレビュー(星1-5の評価とコメント)
– ベータテスト参加者アンケート回答
– カスタマーサポートへの問い合わせ
– アプリ内フィードバック機能での投稿

求める分析結果:
1. 総合満足度と主要な不満点(重要度順)
2. 機能別の評価とコメント傾向
3. ユーザーセグメント別の反応差異
4. 競合アプリとの比較言及
5. リリース前に修正すべき致命的な問題
6. 将来のアップデートで対応すべき改善点

緊急度とインパクトでマトリックス化して提示してください。

このように、AIを活用することで、UXリサーチの成果を確実にプロダクトへ反映し、継続的な改善サイクルを支えることができます。次の章では、全体を通じたまとめと、これからUXリサーチにAIを取り入れる方へのアドバイスをご紹介します。

AIでUXリサーチを効率化した成功例

事例1:フィンテックスタートアップがAIで新機能開発をスピードアップ

限られたチームでも、AIを活用することでUXリサーチを短期間でやりきれる。そんな好例が、あるフィンテック系スタートアップでの取り組みです。個人向け資産管理アプリに新しい機能を追加する際、AIを取り入れたことで、短期間でも質の高いリサーチと設計を実現しました。

【背景】人も時間も足りないなかでの挑戦

このプロジェクトでは、UXリサーチャー1名とプロダクトマネージャー2名という小規模なチームで進行。しかも、リサーチから設計仕様の策定までをわずか6週間で終える必要がありました。さらに、ユーザー層は20代〜60代までと幅広く、多様なニーズを把握することも大きな課題でした。

【活用法】AI活用でリサーチを一気に効率化

このプロジェクトでは、以下のような形でAIを積極的に活用しました。

  • ChatGPT を使い、複数のユーザーペルソナとシナリオを短期間で作成
  • 15件のユーザーインタビューを自動で書き起こし、要点をすぐに分析
  • Midjourney(画像生成AI)と Figma(デザインツール)を組み合わせてプロトタイプを素早く作成
  • AIによる初期のユーザビリティ評価で、問題点をすぐに洗い出し、改善を繰り返すサイクルを構築

【成果】時間も質も大きく改善

このAI活用によって、以下のような成果が得られました。

  • リサーチにかかる工数を65%削減(10週間→4週間に短縮)
  • ユーザーインサイトが従来比30%増と、より深い理解を獲得
  • プロトタイプのテストバリエーションが3倍に拡大し、検証の幅が広がる
  • 最終的な機能はリリース後に目標より15%高い利用率を記録

この事例が成功したポイントは、AIの活用と少人数チームによる柔軟な運用を組み合わせた「AI+少人数」のハイブリッド戦略にあり、大きく3つの要因が挙げられます。

  1. リサーチ初期からAIをフル活用したことで、スピーディーに仮説を立てられた
  2. 少数の実ユーザーによるテストを行い、AIが作った仮説を検証するハイブリッドアプローチを採用
  3. プロトタイプの作成と改善サイクルがすばやく回せる体制を整えた

事例2:大手小売チェーンがAIで地域特性に合わせたUX改善を実現

全国規模のサービスでも、AIを活用すれば、地域ごとのユーザー体験をきめ細かく最適化できます。ある大手小売チェーンでは、店舗とオンラインをつなぐ顧客体験を見直すため、UXリサーチにAIを取り入れました。結果として、リサーチ時間の短縮と精度の向上を同時に実現しています。

【背景】多様なユーザーと広範な接点にどう向き合うか

この小売チェーンは、全国に200店舗を展開しており、ECサイトとの連携体験を改善することが今回の目的でした。

ただし課題は山積み。利用者の年齢層やニーズが幅広く、店舗・アプリ・ECなど複数の接点(タッチポイント)を持つため、地域ごとの違いや購買パターンの多様性を深く理解する必要がありました。従来の方法だけでは時間がかかりすぎるうえ、地域ごとの特徴を見落とすリスクもありました。

【活用法】AI活用でリサーチ精度とスピードを両立

こうした状況を踏まえ、同社は以下のようにAIを活用しました。

  • 顧客アンケート3,000件以上をAIで高速分析し、共通点や傾向を抽出
  • 地域別・店舗別の行動パターンを自動で分類し、ユーザーの違いを可視化
  • 20件のインタビューを効率的に処理・統合分析し、深い洞察を短時間で獲得
  • 地域特性を反映したユーザージャーニーマップ(顧客行動の流れ図)をAIで作成し、現場への共有もスムーズに

【成果】時間・コストを減らしながら、質の高い提案へ

AIの活用により、以下のような成果が得られました。

  • 分析期間を従来の4週間から10日間に短縮(約65%削減)
  • 地域ごとの顧客インサイトをより正確に発見(これまで見落としていた特性にも気づけた)
  • オンラインと店舗の連携利用が22%向上(パーソナライズ機能の改善が効果を発揮)
  • リサーチコストを約半分に削減しながら、より詳細な分析が可能に

このプロジェクトが成功した鍵は、AIの分析力と多角的な視点を活かしたアプローチにあり、大きく3つの要因が挙げられます。

  1. 大量のデータからパターンを見つけ出すAIの分析力を最大限に活用したこと
  2. アンケートやインタビューといった定量・定性データを組み合わせたことで、ユーザー理解がより立体的になったこと
  3. 地域ごとの特徴を深掘りすることで、よりパーソナライズされた体験設計ができたこと

AI活用のポイントと注意点:成功のための5つの原則

AIはUXリサーチを効率化する強力なツールですが、使い方を間違えると思わぬ落とし穴もあります。ここでは、AIを活用して成果を最大化するための5つの基本原則を紹介します。

原則1:信頼性と検証のバランスをとる

AIの出力は「正解」ではなく、「出発点」。人の目による検証とセットで使うことが大切です。AIが提示してくれるペルソナやインサイトは非常に便利ですが、それらをそのまま鵜呑みにするのは危険です。AIは、過去のデータやパターンに基づいて情報を出力しますが、実際のユーザーの多様な行動や価値観を完全に反映できるわけではありません。

そこで重要なのが、「AIで作ったものを、リアルなユーザーで確かめる」という視点です。以下に、特に注意したいポイント3点をまとめました。

  1. AIが生成したペルソナやシナリオは、実際に存在しそうなユーザーかどうか、現場の知見やユーザーインタビューで確認を
  2. AIによるパターン抽出は、一見もっともらしく見えても、チーム内で批判的に検討することが欠かせません
  3. たとえ少人数でも、実ユーザーの声と照らし合わせてAIの洞察を検証する習慣をつけましょう
実践例:2-2-2ルール

あるUXチームでは、「2-2-2ルール」というアプローチを実践しています。
これは以下のような流れです:

  1. AIに2つのペルソナ案を生成させる
  2. 2人の実ユーザーにインタビューを実施し、そのペルソナと合致するかを検証
  3. その結果をもとに2回のイテレーション(改善)を行う

こうすることで、AIによるスピードと、人の視点による深さの両立が可能になります。

原則2:ツールを組み合わせて、シームレスなAIワークフローをつくる

AIはひとつのツールだけで完結させようとせず、目的に応じて“使い分ける”ことが成功のポイントです。UXリサーチでは、文章の要約や図表の作成、音声の書き起こしなど、求められる作業が多岐にわたります。ひとつのAIツールですべてに対応しようとするのではなく、それぞれの工程に強みを持つツールを組み合わせることで、よりスムーズで効率的なワークフローが実現します。

UXリサーチに役立つAIツールは、以下のようにカテゴリごとに活用できます。

  • 言語処理系:ChatGPT、Claude
     → 質問の自動生成や、ユーザーインタビューの要約・分析に便利
  • 画像生成系:Midjourney、DALL·E
     → ペルソナのビジュアル化やプレゼン資料のイメージ作成に活用
  • 音声処理系:Whisper(OpenAIの音声認識モデル)
     → インタビュー音声の自動書き起こしに最適
  • 専門特化型:Dovetail AIなど
     → UXリサーチ向けのタグ付け・テーマ整理・コラボレーションに特化
実践例

以下のようなツールチェーン(ツールの連携)を構築すれば、作業全体が驚くほどスムーズになります:

  1. Zoomで実施したユーザーインタビューを録画
  2. 音声をWhisperで自動書き起こし
  3. 出力されたテキストをChatGPTで要約・初期分析
  4. インサイトの整理はDovetailでテーマ別に可視化
  5. 最終レポートはChatGPTで構成と文章を整える
  6. プレゼン資料のビジュアルはMidjourneyでイメージ作成

原則3:プロンプト設計を磨けば、AIの成果はもっと上がる

AIをうまく活用するには、良い「プロンプト(指示文)」を書く力が欠かせません。どれだけ高性能なAIでも、入力の仕方があいまいだと、欲しい結果は返ってきません。だからこそ、「プロンプトエンジニアリング(適切な指示の出し方)」を意識することが、UXリサーチの質を大きく左右します。

効果的なプロンプトを作るには、以下のような基本ルールを意識しましょう。

  1. 具体性と明確さ
    「何を、どう出力してほしいか」をはっきり伝えることが重要です。たとえば、「要約して」ではなく「200文字以内で3つのポイントに分けて要約して」といった形で具体的に。
  2. コンテキストの提供
    プロジェクトの背景や目的、対象となるユーザー情報を共有することで、AIの理解力がぐっと高まります。
  3. 段階的アプローチ
    一度に複雑なタスクを依頼するのではなく、「まずは仮説を5つ挙げて」「次に1つずつ検証して」といったステップ分けが有効です。
  4. 評価基準の明示
    「どういう結果が良いのか」を伝えると、AIもその基準に合わせて出力を調整しやすくなります。
  5. 反復と改善
    最初の出力で満足せず、少しずつプロンプトを調整しながら精度を高めていく姿勢が大切です。
実践例

たとえば、UXリサーチの結果からインサイトを抽出したい場合、以下のような構成でプロンプトを設計すると効果的です:

【背景】

  • プロジェクトの目的(例:ECサイトの購入完了率を上げたい)
  • 対象ユーザーの属性や課題
  • これまでに分かっていることや前提条件

【タスク】

  • たとえば「10件のインタビューデータから、頻出する不満とその理由を整理して」など、具体的な依頼内容を記載

【制約条件】

  • たとえば「ユーザーの感情の変化に注目」「専門用語は使わず平易な表現にする」など、意識してほしいポイントを伝えます

【出力形式】

  • 出力スタイルも明示しましょう。「表形式で」「重要度順にリストアップ」「インサイトごとに引用を添えて」など

原則4:倫理とプライバシーを最優先に

UXリサーチにAIを取り入れる際、もっとも大切なのが「倫理」と「プライバシー」への配慮です。効率やスピードだけを追求するのではなく、ユーザーの信頼を守りながら進めることが、長期的な成功につながります。

AI活用における倫理面での配慮は、次のような点を意識することが重要です。

  1. データの匿名化
    インタビュー内容をAIに入力する前に、個人名や住所などの情報は必ず削除しましょう。勤務先や年齢などの「間接的に身元が分かる情報」も一般化するのが理想です。
  2. 透明性の確保と同意の取得
    参加者には、「AIで分析を行うこと」をあらかじめ説明し、同意を取ることが必須です。どんな目的で、どの範囲まで使うのかを明確に伝えましょう。
  3. AIサービスの利用規約・ポリシー確認
    AIツールにデータを送る前に、そのサービスのプライバシーポリシーや利用規約を確認しておくことも忘れずに。思わぬ形でデータが保持・再利用される可能性があります。
  4. AIによるバイアスの識別と軽減
    AIは過去のデータに基づいて出力を行うため、意図しない偏り(バイアス)を含むことがあります。そうした傾向に気づき、必要に応じて人の手で補正する視点が必要です。
  5. 責任の所在を明確に
    AIが生成したアウトプットであっても、最終的な判断責任は人間にあるという前提を忘れないようにしましょう。レポートや提案には「AI生成」である旨を明記することもおすすめです。
実践例

AIにインタビューデータを入力する前の匿名化では、以下のようなステップが役立ちます

  • 氏名、電話番号、メールアドレスなどの直接的な個人情報を削除
  • 勤務先や役職、年齢などの個人が特定されそうな情報は一般化
  • 音声データの場合は、声紋分析を避けるためにピッチを変えるなどの加工も有効
  • 分析結果を公開する場合は、個人が特定されないように統計的開示制御を行う

原則5:チーム全体で学び続ける文化を育てよう

AIを導入して終わりではなく、活用しながら“学び続ける姿勢”が成果の持続には欠かせません。ツールの精度や活用方法は日々進化しています。だからこそ、チーム全体で効果を振り返り、ノウハウを共有する仕組みをつくることが、長期的な成功につながります。

AI活用を継続的に改善するためには、次のような視点を持つことが大切です。

  1. 効果を測定する仕組みづくり
    AIを使ってみてどうだったのかを、しっかり数値で振り返ることが大切です。これらを定期的に見える化することで、次の改善点が見えてきます。
  • AI導入前後で、作業時間にどれくらい差が出たか
  • 抽出されたインサイトの「量」や「質」はどう変わったか
  • チームメンバーがどのくらいAIを使いこなせているか(習熟度)
  • プロジェクトの成果に、どれだけAIが貢献したか
  1. ノウハウ共有の仕組みを整える
    良い使い方・うまくいかなかった使い方を、チーム内で共有できるようにすると、再現性が高まります。
  • 効果的なプロンプト(AIへの指示文)をライブラリ化
  • 失敗事例と、そのときの改善策を文書化しておく
  • 定期的に「ベストプラクティス共有会」などを開催
  • 新しいツールや手法の評価・導入プロセスを整備
  1. AIスキルを育てる仕組みをつくる
    AI活用は一部の人の担当ではなく、チーム全体のスキルとして底上げしていくことが重要です。
  • プロンプトエンジニアリング(指示の出し方)のトレーニング機会を設ける
  • 他社事例や他業界の活用法を知ることで、視野を広げる
  • AIの倫理・プライバシーに関する最新の知識も定期的にアップデート
実践例

ある企業では、毎月1回、チーム全員が参加する「AI活用振り返り会」を開催しています。この場では、以下のようなことを共有しています:

  • 今月もっとも役立ったプロンプトの紹介
  • 思うようにいかなかったケースとその振り返り
  • 新しく試したツールや手法の成果報告
  • 次月に向けたチーム全体のAI活用スキル向上プランの策定

こうした地道な積み重ねが、AIを使いこなす文化を育てています。

UXリサーチの未来と、AIがもたらす新たな可能性

これからのUXリサーチは、さらに大きく進化していきます。リアルタイムでの分析により、継続的な改善サイクルがまわりやすくなり、ユーザーのニーズの変化をあらかじめ捉える「予測型リサーチ」も実現に近づいています。また、一人ひとりに合わせた調査手法の自動化が進むことで、よりパーソナライズされたリサーチも可能になるでしょう。

こうした変化にともなって、UXリサーチャーの役割も変わっていきます。これまでのようにデータを集めて処理するだけでなく、その情報をどう活かすかという戦略的な思考が求められるようになります。そして、少人数でも高い成果を出せる、効率的なチーム体制が主流になっていくと考えられます。

私たちアイスリーデザインでも、さまざまなプロジェクトでAIを取り入れたUXリサーチに取り組んできました。その中で実感しているのは、AIは決して魔法の道具ではなく、「ユーザー中心の視点」を持った上で使うからこそ、真価を発揮するということです。

UXリサーチにおけるAI活用は、まだ発展途上の分野です。だからこそ、まずはできるところから一歩踏み出してみてください。その小さな一歩が、やがて大きな変化につながっていくはずです。

本記事でご紹介した手法が、あなたのプロジェクトにおけるAI活用の第一歩となれば幸いです。

アイスリーデザインは、UI/UXデザインに強みを持つ開発会社として、人間中心設計プロセスとOOUI(オブジェクト指向UI)の設計思想を組み合わせ、直感的で使いやすいUI/UXデザインを実現しています。また、クラウドネイティブアーキテクチャとアジャイル開発手法を融合させたアプローチでデザインの実装までご支援いたします。

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