2019年5月10日

テクノロジー

“ユーザーインタビューをはじめよう” 新規事業担当者のためのインタビューの型

N.Ohnaga

前回の記事(https://www.i3design.jp/in-pocket/7769)では、新規事業担当者に求められるインタビューという行為の心構えについて紹介しました。しかし、実際にいざ実施しようと思っても、どう質問を構成すべきかわからない方も多いと思います。今回は、新規事業創出活動にもとめられる3つのインタビューの型とチームでインタビューを設計する方法についてご紹介します。

 
 

0→1のフェーズで求められるインタビューは大きく3つ


0→1の局面で必要なインタビューは大きく3つあります。それぞれプロジェクトのフェーズや、解決すべき課題によって異なるわけですが、まずチームで「今、明らかにすべき問いはどのインタビューパターンを活用すると良いか?」から考える始めるとよいでしょう。
 
 

機会探索型

顧客に寄り添いテーマに関わる“不”や“顧客が実現したいこと”を理解し市場機会や、サービスの方向性を発見することがこのインタビューの目的です。
顧客がゴールに到達するまでの行動、感情、関連する人・モノ・環境、行動を促進・阻害する要素をつぶさにヒアリングしながらサービスを提供するための機会やポイントや優先順位を明らかにします。
 

タスク分析型

サービスの機会を特定したら、そこで提供すべき機能・特長を検討するため顧客の活動やそこでの要求を明らかにするのがこのインタビューの目的です。
このインタビューで一番重要なことは、実際にその作業が行われる現場に訪問し、
その作業を横で見ながら、行動の根底にある潜在的な要求を明らかにすることです。ITシステムがテーマであればそれが使われる環境で、料理がテーマであれば顧客のキッチンに入り、調理を見ながら根堀葉掘り質問をしてください。

 

仮説検証型

設定したコンセプトや機能、特長など様々なレベルの仮説について検証し、改善点を特定します。ここでは、製品サービスのプロトタイプがインタビューの素材として必要です。もちろんプロトタイプと言っても実際に動く、体験できるものでなくても構いません。仮想サービスのポスター、サービスを擬似体験できる紙芝居、アプリのUIなど検証ポイントに合わせてインタビュー素材としてもプロトタイプを準備してください。

 
 

チームでインタビューを設計する

インタビューの目的(明らかにすべきこと)が決まったら、チームでワークショプをしながらインタビューを設計します。0→1の局面ではリソースが限られているため、既存事業のようなしっかりした分業体制を組めません。期間内でより多くのインタビューを実施するためにも、誰がインタビューアーになってもフォーカスがぶれないようインタビュー設計プロセスそのものを共同化し、チームで問いをブラッシュアップするのがオススメです。

以下がその手順です。1時間もあれば実施できる手順ですので、ぜひ活用してみてください。(この手順については樽本徹也さんの著書 【UXリサーチの道具箱】 で紹介されてます。詳しく知りたい方はこちら) 

 

ステップ1:聞きたいことを思いつくままにリストアップする


 

ステップ2:付箋をグループ化して見出しをつける。関連のあるものは近くによせる。


 

ステップ3:見出しの付箋だけを別の紙にならべる。相手の答えやすい順番にならべかえる。


 

ステップ4:4.付箋の下に質問リストを縦一列にならべる。


 

ステップ5:質問文をつくる。(それを問うことで、その下にある聞きたいことリストにつながっていく聞き方を考える)


 

ステップ6:最上部に3〜5つの大見出しをつける。(つまりこれがこのインタビューで明らかにしたいこと)


 
 
以上、今回は新規事業に求められるインタビューの3つの型とインタビュー設計の方法論について共有させていただきました。次回は観察法や、アイデア評価法など具体手的な聞き方のテクニックについてご紹介したいと思います。

 

Nobuyuki Ohnaga

N.Ohnaga

株式会社アイスリーデザイン取締役、株式会社bridge代表、サービスデザイナー。日本にペルソナを導入した先駆的企業であるmct社のコンサルタントとして人間中心イノベーション手法を活用した商品開発、サービスコンセプトの構築、イノベーション人材育成といったプロジェクトをリード。2017年1月bridge.Incを設立。多様な業種、組織の200を超えるデザインプロジェクトの実践経験をノウハウとして体系化し、スタートアップや中小企業のイノベーションを支援する。2017年8月より株式会社アイスリーデザインに役員として参画。

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