バックオフィス・経営企画業務はAIでどう変わる?アイスリーデザインの社内活用事例

バックオフィス・経営企画業務はAIでどう変わる?アイスリーデザインの社内活用事例

生成AIの活用が急速に広がる中、「自社のどの業務に、どのように取り入れればよいのか」と悩む企業も少なくありません。アイスリーデザインでは、AIを前提に業務やサービスを考える「AIネイティブな企業」を目指し、エンジニアやデザイナーによる開発・デザイン領域での活用はもちろん、バックオフィスや経営企画の領域でもAI活用を推進しています。

経理・財務、法務、経営企画、人事・採用などを担うコーポレート本部では、文章の作成や情報の要約といった個人レベルの利用にとどまらず、AIを日々の業務プロセスに組み込み、業務の効率化や意思決定の迅速化につなげる取り組みが進んでいます。

こうした取り組みを象徴するのが、四半期ごとのキックオフで実施している社内表彰です。この表彰は「Be modern, Be standardアワード」といい、当社のバリューを行動で体現した社員に贈られるもので、今回は、コーポレート本部における経営企画グループのメンバーが選ばれました。

「Be modern, Be standard」は、当社が掲げるバリューの一つで、「先端を捉え、新たな標準を創る」という考え方です。常に最新の手法を取り入れるだけでなく、それを自分たちの業務に合わせて実践し、継続的な改善を通じて新しいスタンダードとして定着させていく姿勢を表しています。

アイスリーデザインのValue
弊社コーポレートサイトより抜粋:「Be modern, Be standard」は、アイスリーデザインが掲げるバリューの一つです。

今回、経営企画グループのメンバーが進めたAI活用も、生成AIや自動化ツールを試すだけで終わらせず、実際の業務プロセスに組み込み、新しい働き方へとつなげた取り組みです。まさにこの考え方を日々の業務で実践した事例といえます。

この記事では、弊社のバックオフィス・経営企画業務におけるAI活用の取り組みの背景や具体例をご紹介していきます。

「何から始めるか」ではなく、「何が面倒か」から考える

コーポレート本部でAI活用の検討を始めた当初は、明確な完成形があったわけではありません。コーポレート部門の業務にもAIを活用できそうだという期待はあったものの、何から手をつけるべきかは手探りの状態でした。

そこで最初に行ったのが、各担当者が抱えている業務の洗い出しです。手作業で時間がかかっているもの、毎回の確認が負担になっているもの、率直に「面倒だ」と感じているものを挙げ、効率化による効果や実現性を踏まえて優先順位をつけました。

AIで何ができるかを先に考えるのではなく、現場の負担や違和感から改善の対象を見つける。大規模な仕組みを一度につくろうとせず、できる業務から着手する。この進め方が、取り組みの出発点になりました。

AI化しやすそうで、実は業務理解と人の判断が欠かせない

バックオフィスのAI活用

コーポレート本部が担う、経理・財務、法務、経営企画、人事・採用などのバックオフィスの業務には、社内外から数字や情報を集め、整理・要約し、決められた形式に整える作業が多くあります。件数が多く、ある程度共通した流れを持つ情報収集や文書作成は、AIによる効率化の効果が出やすい領域です。

一方で、バックオフィスの業務は、見た目ほど単純な定型作業ではありません。経営判断や取引に関わる情報には正確性が求められ、例外への対応や、情報の背景を踏まえた判断も必要です。機密情報を扱う場面も多く、AIによる出力内容のチェックも慎重に行わなければなりません。

AIに関する知識や活用経験は、メンバーによって異なります。基本的には、各担当者が自身の業務を振り返り、どのような作業にAIを活用できるかを考え、できるところから試しています。一方、自動化の仕組みづくりなど、より専門的な知識や業務の整理が必要なケースでは、ツール周りに詳しいメンバーが業務担当者へのヒアリングを行い、連携しながら取り組みを進めています。

こうした仕組みづくりで重視しているのが、業務の流れや判断基準を整理し、どこまでを自動化し、どこからを人が担うのかを明確にすることです。AIに詳しいだけでも、業務に詳しいだけでも、実務で使える仕組みにはなりません。双方の知見を組み合わせながら、小さく試し、改善することが欠かせません。

取り組みの中で得た知見が、別の業務の改善につながることもあります。「この作業にも応用できるのではないか」というアイデアを生み、個人の工夫にとどめず、再現可能な業務の仕組みとして定着させることも、「新たな標準を創る」うえで経営戦略部が大切にしている点です。

取引先審査に必要な情報収集を効率化

こうした取り組みの具体例の一つが、今回「Be modern, Be standardアワード」を受賞したメンバーが進めた、取引先審査に必要な情報収集の仕組み化です。

取引先審査は定常的に発生する業務であり、取引を開始する際には、企業名と代表者を組み合わせて国内外の複数の情報源を確認する必要があります。従来は、国内外の要注意情報を確認するデータベースや海外のサイトなどを一つひとつ手作業で検索し、該当する情報がないかを調べていました。件数が増えるほど時間がかかるだけでなく、複数の情報源を漏れなく確認するための集中力も求められる業務です。

そこで、情報を収集する一連の作業を自動化ツールで組み合わせ、必要な調査をまとめて実行できるようにしました。現在は、調査結果がSlackに通知され、担当者が確認できる仕組みになっています。この仕組み化により、取引先審査の情報収集にかかる時間は従来の約半分に短縮されました。

ただし、AIやシステムが取引の可否を判断するわけではありません。自動化しているのは、あくまで判断材料を収集し、確認しやすい状態に整えるところまでです。見つかった情報が対象企業と本当に関係しているのか、取引上の問題に該当するのかといった最終的な確認と判断は、すべて人が行っています。

「AIにすべてを任せる」のではなく、AIや自動化ツールが得意な情報収集・整理と、人にしかできない文脈の理解・意思決定を分ける。この役割分担によって正確性を保ちながら、担当者がより重要な判断に時間を使える状態をつくっています。

AI活用は、一度整えて終わりではない

もちろん、最初から期待どおりの結果が得られたわけではありません。取り組みを始めた当初は、必要な情報が十分に集まらなかったり、想定と異なる形式で結果が出たりすることもありました。

出力内容を確認しながら指示や処理方法を調整し、過去の資料や出力形式を参考情報として与える。こうした試行錯誤を重ねることで、少しずつ精度と使いやすさを高めてきました。

仕組みを考え、検証する段階では、手作業より時間がかかることもあります。それでも、繰り返し発生する業務であれば、改善を重ねるほど効果は積み上がります。目の前の業務が忙しいほど後回しになりやすいからこそ、経営戦略部では、知見を持つメンバーと業務担当者が協力し、継続的に改善することを重視しています。

次なるAI活用の展望

経営企画グループでは現在、社内に点在している情報を集約し、経営状況を可視化するKPIダッシュボードの整備も進めています。経営企画グループが自ら仕組みをつくることで、必要な指標や更新頻度を柔軟に見直し、変化に合わせて改善できることも大きなメリットです。

ダッシュボードイメージ

経営企画グループが目指しているのは、数字を一覧で確認できる状態だけではありません。将来的には、データをもとに「今、何が起きているのか」「次にどのようなアクションを取るべきか」を社内で迅速に議論・対話できる状態をつくる構想です。

ただし、メールや資料作成の効率化と比べ、意思決定の迅速化には、社内データの集約や指標の定義、情報の鮮度と正確性の確保が必要です。AIを導入するだけで実現できるものではなく、業務とデータを継続的に整えていくことが欠かせません。

定型的な情報収集や整理にかかる時間を減らせれば、人は分析や判断、次の施策を考える仕事に、より多くの時間を使えます。経営戦略部が取り組んでいるのは、単なる作業時間の短縮ではなく、会社全体の意思決定を迅速化するための土台づくりでもあります。

AI活用では、新しい技術を取り入れること自体よりも、対象業務を理解し、人とAIの役割を設計しながら改善を続けることが重要になります。現場の「面倒」を起点に、自社の業務に合った新しい働き方をつくっていくコーポレート本部における一連の取り組みは、まさに弊社の「Be modern, Be standard」というバリューを体現しているといえます。

弊社では、コーポレート本部に限らず、さまざまな部署でAIを業務に取り入れる試みが進んでいます。今後も、各部署がどのような課題にAIを活用し、どのように新しい業務の標準へつなげているのかを積極的に発信していきます。

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デザインとテクノロジーに関する情報を発信するアイスリーデザインのオウンドメディア、"in-Pocket"の編集部です。テクノロジー・デザイン関連の解説記事やビジネス戦略にまつわるインタビュー記事などを投稿しています。日々の業務における知識のインプットとしてぜひお役立てください!
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