2016年5月12日 トレンド

いよいよVR元年へ。動き出す市場。

今年はいよいよVR元年になりそうだ。

これまでもVRへの試みは色々行われてきたが技術性能とコストの問題が常に存在してきた。2012年にOculus社が低コストのHMD(ヘッドマウントディスプレイ)Riftを発表して以降、市場がようやくこれで行けるという空気に一変し、一気にVRの普及と市場の創造が現実化した。延期が続いたRiftの製品版がいよいよ出荷されようとしている中、SONYはゲーム機にのせる形でPlayStationVRをもうすぐ発売。

HTCは動き回れるところが特徴のVineを発表している。ただ、Riftは599$でVineも11万2千円それぞれ別途高性能パソコンも必要となる。PlayStationVRも4万4980円に別途プレステ4が必要になるため一般への普及を考えるとまだちょっと高いかも知れない。

一方でHMDにスマホを差し込む簡易タイプのものも登場している。段ボール箱にスマホを入れて使うタイプの安価のものも多数出ているが、やはりVRで重要になる没入感に乏しいことは否めない。そんな中SAMSUNGがOculusと組んで発表しているGearVRはSAMSUNGのスマホを差し込んで使えるタイプではあるが独立センサーも搭載しており視野も没入感が手軽に味わえるメリットがある。またHMDからケーブルが出ていないのもビジネスの現場で使う時に使いやすいだろう。

今回、auとdocomoの新製品であるGALAXYs7edgeを予約した人に無償でプレゼントするという米国でも行ったキャンペーンを開催している。手軽にVRを体験する人の裾野が広がるという意味でも注目だ。

スマホを予約すると無償でもらえるキャンペーン中のGearVR

当面VRはゲーム市場がわかりやすく普及するだろう。ただ本当の仮想現実感を体感することができるVR専用のアミューズメントパークの構想などもでてきている。THE VOIDと呼ばれるソルトレイクからの展開が予定されているこの施設では没入するだけでなく、仮想の世界を体感できる部屋や特殊効果などが用意されており、新しい時代のアミューズメントパークとなりそうだ。何よりも内装コストがかからず、コンテンツを変えるだけで新しい世界を体感できるという意味ではこれからのテーマパークの形なのかも知れない。

米国ソルトレイクに開設予定のVRアミューズメントパーク

当面個人に普及する前に広がりそうなのはB2B市場だ。不動産からすると大きなコストをかけてモデルルームなどを作らなくてもVRで仮想体験してもらえればかなりのコスト削減につながる。教育市場でも文章で学習するよりは歴史や科学の実験などを実体験してもらえることで大きな教育効果が期待できる。旅行業界は仮想体験から旅行需要の喚起や詳細なプランをたてやすくなるなどのメリットが期待できる。カラオケも自分が好きなアーティストと一緒にコンサートホールで歌っている体験など新しい次元のコンテンツにパワーアップできるだろう。VRの映画が登場すると映画館の楽しみ方も変わるかも知れない。

いずれにしてもスタンドアローンではなく、複数の人が同時に同じ仮想体験をできるような技術が登場することで利用シーンも格段に増える。当面はベンチャーも大企業も入り交じった試行錯誤が続くことになるだろう。今年、VR市場からは目が離せない。

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Kentaro Fujimoto

D4DR 代表取締役社長

1991年電気通信大学を卒業。野村総合研究所在職中の1994年からインターネットビジネスのコンサルティングをスタート。日本発のeビジネス共同実験サイトサイバービジネスパークを立ち上げる。 2002年よりコンサルティング会社D4DRの代表に就任。広くITによるイノベーション,事業戦略再構築,マーケティング戦略などの分野で調査研究,コンサルティングを展開しており,様々なスタートアップベンチャーの経営にも参画し,イノベーションの実践を推進している。現在、日経MJでコラム「奔流eビジネス」,日経BIzgateで「CMO戦略企画室」を連載中。

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