2017年6月8日 ビジネス

スマホとホワイトボードと思考の広さ

今どきの大学生はパソコンを持っていない、ということが最近よく話題になる。
私が非常勤で教えている大学でもレポートの提出はスマホという学生の方が多い。パソコン持っていても、入力はスマホの方が早いからというのも大きな理由のひとつである。全てはスマホで済ませることができる時代。確かにスマホさえあればパソコンが無くても生活には困らないという人も増えているだろう。
 
ただ私の考えは少し異なる。作業に応じて画面サイズはとても重要だ。知的生産活動の現場においてはより早く、よりクリエイティブに思考を高めることがますます求められている。その場合思考の範囲を狭めないためにも、広い画面が重要になる。
コンピューターが計算機と言われていた頃は、計算したり、ワープロが使えればよかったかも知れない。しかし、パソコンは「思考のための道具」と捉えれば、個人であるいは共同で創造性を高めることが何より重要であり、情報の一覧性や構造を整理し、アイデアを創造することが求められる。
会議室でみんなで議論をする時ホワイトボードに書きながら議論するのは、やはり文字や図を共有することで共通認識を作ることがとても大事だからだろう。ホワイトボードというアナログなツールが、今でも大活躍していることの意味を再度考えることは大事だ。
 
そんな中、Googleが55インチのインタラクティブホワイトボード「Jamboard」を米国で発売した。参加者が自分のパソコンと共有しながら共同作業を行うためのデジタルホワイトボードであり、大きい画面に様々な写真やデータや図などを配置しながら議論ができる。まさにクリエイティブな知的生産活動を支えるためのアプローチだ。これまでIT業界が業務プロセスの効率化ばかり考えていたため見過ごしてきた領域ではないだろうか。
 

G Suite by Google Cloud
 
そして私も最近自宅のディスプレイを43インチの4Kディスプレイに変えた。この原稿も3840×2160画素の画面で書いている。広い画面に様々な情報を並べながら思考することの大事さをあらためて感じている。
実はVRでも仮想の大画面で動画を見るというアプリがあるのだが、仮想の空間に自由自在に情報を配置することの可能性も感じる。もちろんVRの解像度がちゃんと追いつかないと本格的にはダメだろうが、やがて8KぐらいのディスプレイでVRを楽しめるようになる。その時には、VRの中で部屋の壁一面の広大なホワイトボードで会議したり、部屋中ディスプレイにしたところで色々思考に耽るというような、新しい活用法も生まれてくるかも知れない。
 
小説を読む時のような、一つのテキストのみに集中するような時はスマホの画面だけでも十分なのだろう。しかし、人工知能の時代に人間が勝利するためには、知的創造をどれだけITが支援できるかが重要な鍵だ。大画面やVRを活用した新しいツール開発はまだまだやれていないことが多く、チャンスがたくさんあると言えるだろう。
 
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Kentaro Fujimoto

D4DR 代表取締役社長

1991年電気通信大学を卒業。野村総合研究所在職中の1994年からインターネットビジネスのコンサルティングをスタート。日本発のeビジネス共同実験サイトサイバービジネスパークを立ち上げる。 2002年よりコンサルティング会社D4DRの代表に就任。広くITによるイノベーション,事業戦略再構築,マーケティング戦略などの分野で調査研究,コンサルティングを展開しており,様々なスタートアップベンチャーの経営にも参画し,イノベーションの実践を推進している。現在、日経MJでコラム「奔流eビジネス」,日経BIzgateで「CMO戦略企画室」を連載中。

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