メタバースでキャンプ体験いつでもどこでもハピキャン ~メタバースはじめてみました~

メ~テレが運営する複合型アウトドア情報発信メディア「ハピキャン」と連携し、「いつでもどこでもハピキャン~メタバースはじめてみました~」のタイトルでデジタルキャンプ場を制作しました。

メ~テレ(名古屋テレビ放送株式会社) 様

Overview

概要

右からメ~テレ コンテンツビジネス局 プロデューサー 藤石崇文氏、名古屋テレビネクスト株式会社 取締役 経営戦略部長 萩原悦子氏、アイスリーデザイン xRコミュニケーションデザイン部 マネージャー 村上

名古屋テレビ放送株式会社は、「メ~テレ」の愛称で親しまれている1962年開局のテレビ朝日系列の地上波テレビ局です。(以下、メ~テレと表記)

アイスリーデザインは、メ~テレの「Nex'BN」チームと共同で、「『キャンプ場の歩き方』をデジタルで再現するには?」をテーマとしたトライアルプロジェクト「いつでもどこでもハピキャン ~メタバースはじめてみました~」を開発しました。

メタバースコンテンツ開発に込めた思い、そして制作プロジェクトとその進行について、メ~テレコンテンツビジネス局プロデューサーの藤石崇文さん、名古屋テレビネクスト株式会社取締役経営戦略部長の萩原悦子さん、そしてメ~テレ技術局設備戦略部の小林晋尚さんにお話を伺いました。

Interview

インタビュー

「2030年の未来」を見据えたトライアルプロジェクト

−−プロジェクトの概要を教えてください。

萩原さん:メ~テレでは、放送を取り巻く環境が大きく変わるなか、未来(Next)のメ~テレ(NBN)像を模索する社内チーム「Nex’BN」という組織を2014年に立ち上げ、年度毎にテーマを設定して、有識者へのヒアリングや、それを踏まえたディスカッションとトライアルを続けています。

2023年度は「2030年ごろに社会がどうなっているのか、その中でのメ~テレの姿は」をテーマとして、取り組みました。今回のメタバース企画はその一環のプロジェクトでした。

−−プロジェクトのパートナーとしてアイスリーデザインを選ばれたきっかけは?

萩原さん:以前、村上さんのウェビナーを聴講した際、本当に深い知識をお持ちなのに初心者に向けての説明がすごく分かりやすかったんです。そこで今回の「Nex’BN」における有識者へのヒアリングフェーズでは、まず村上さんに「xRやメタバース」についてのお話を伺いたいと思いました。「Nex’BN」では3チームに分かれて、様々な分野のヒアリングを行っていたのですが、各チームのリサーチ結果を総合して2030年に向けたトライアルとしてはメタバース・xR関連に取り組むこととなり、村上さんと一緒にトライアルをさせていただきたいとお願いし、お付き合いが始まりました。

−−企画・開発はどのようなところからスタートしたのでしょうか?

村上:メタバースにおいては、やりたいことを実現するためにどういうプラットフォームを選ぶかが重要です。そのため最初に「どういうことをされたいですか?」と、結構しつこくお伺いしました。また、メタバースは時間と予算をかければ何でもできてしまう領域ですので、ご予算等の都合もしっかりとお伺いし、それらの条件を踏まえて企画を提案させていただきました。

−−メタバース上での「キャンプ」という方向性はどのように決まったのでしょうか?

萩原さん:我々がメタバースをやる以上、メ~テレならではの世界観があった方が良いと考え、弊社が運営するビッグコンテンツである複合型アウトドア情報発信メディア「ハピキャン」https://happycamper.jp/で展開することになりました。そこからは自然と「メタバースでキャンプをやろう」が共通認識となっていましたね。
藤石さん:従来のテレビ局といえば、一方的にマスに情報を届けるメディアでした。しかし、これからの時代はファンの方々と双方向のコミュニケーションが不可欠です。そのためユーザーの皆さんとコミュニケーションが取れるコンテンツであることは、一つの命題だったと思います。

キャンプにおいて「焚き火の前だと正直に話せちゃう」といったことがよく語られます。それと同じようなことをデジタル空間で再現できるかどうか、そこでユーザー同士がどういうコミュニケーションを行うかを注視することがトライアルの大きな目的の一つとなりました。

メタバース構築に最適化したプロジェクト進行

−−メタバースコンテンツとなると、通常のWebサイトやアプリ開発とは異なるプロセスが求められると思います。プロジェクト進行の工夫はありましたか?

村上:まず「やりたいことをできるだけ可視化する」ことを優先しました。というのも、実はメタバース空間を使った企画を二次元の資料に落とし込むのはとても難しいんです。とくに今回はメ~テレさんにとってほぼ初めてのメタバースということもあり、できる限りイメージがしやすい内容を心がけた画像と文章を準備し、その上で実際に動くサンプルをご覧いただきながら企画を詰めていきました。

また、今回は「ハピキャン」のファンの方々が中心のコンテンツになることは分かっていましたので、ファンの方々のプロフィールやペルソナについては念入りにヒアリングを行いました。彼らがアクセスする手段としてPCブラウザを選ぶことが多いであろうと判断し、予算やスケジュール、集客目標から逆算してプラットフォーム選定をご提案いたしました。

それら候補となる各プラットフォームにおけるメリット/デメリットを全て並べた上で、今回は北米のスタートアップ企業のプラットフォーム「Spatial」を採用・決定いただきました。基本的に国内の事例では国産プラットフォームを選ばれる風潮が強いのですが、今回は「Spatial」を選択いただいたことで品質が良いものができたと思っています。
小林さん:以前、社内の別プロジェクトでメタバースに取り組んでいたのですが、今回はユーザーが楽しめる、リッチでインタラクティブなコンテンツを表現できるプラットフォームを選びたいという思いもあり、「Spatial」を採用しました。

今回、リモートでインタビューに答えてくださったメ~テレ 技術局 設備戦略部の小林晋尚さん

村上:詳しくお話を伺って、「それを実現するためにはこういう手段があります」と、いくつもの選択肢をご提示できるのが私たちアイスリーデザインの強みだと思っていますので、まずは徹底的にお話をさせていただくことを重視しています。
小林さん:通常の業務を行いながら、このプロジェクトに携わっていたため、村上さんのご質問になかなかお答えできない時期もありましたが、Backlogを使い、スケジュール管理を、しっかり行っていただいたおかげで、滞りなく進行できたと思っています。

メタバース挑戦の手応えと、それぞれが描くメ〜テレの未来

−−実際にメタバースを展開していかがでしたか?

萩原さん:ひとことで言えば「楽しかった」です(笑)。村上さんのチームの中に「ハピキャン」をご存知の方がいらっしゃったこともあって、自主的に「ハピキャンならこういうのはいかがですか?」とご提案いただくことも多く、とてもスムーズに進行いただけたと思っています。
村上:言葉を選ばずにいえば、今回はトライアルということも含め「メタバースってこれくらいのものですよ」と実感していただくのも一つの目的だったと考えています。WebやSNSといったチャンネルの一つとして、今後テレビ局がメタバースをどのように使っていけばいいかという手応えは感じていただけたのではないかと思っています。
萩原さん:まさに「(現時点では)これくらいのことができるよね」という、現在のメタバースでできることを感じることができました。例えば、通信環境やデバイスの性能などがバラバラであるが故の外部要因を感じる点もありました。それらを含めて現在のメタバースを掴めたと思っています。そして今後の環境改善によって、一気にブレイクスルーが行われるだろうとも感じています。
藤石さん:私も同じく「今はメタバースでこれくらいのことができる」と思えたのが一番大きい成果だと感じています。

とはいえ、それは決してネガティブな意味合いではなく、ちょっと遠い未来の存在だと思っていたメタバースを身近なコンテンツとして捉えられるようになったという点でポジティブに捉えています。実際、今後はメタバース活用のアイディアを出していけそうだなという感触もあり、新しい武器を得られたと感じています。
小林さん:まさに「やってみて分かったこと」がすごく多いプロジェクトでしたね。同時接続の問題とか、チャット対応だとか、マーケティング的な部分でも得られるものが多く、次に繋がる知見・ノウハウが得られたトライアルだったと感じています。
藤石さん:メタバース内のイベントにおけるユーザーの方々の反応も印象的でしたね。ハピキャン公式YouTubeチャンネルのオリジナル企画「山口トンボ、キャンプ始めます」に出演中の放送作家・山口トンボさんと奥様・りおさんがYouTube生配信を行うというイベントを行ったのですが、当日はすごく多くの方に「ニックネームを呼んでもらった」「挨拶できた」「楽しかった」と楽しんでもらえたんです。

イベント自体は1時間限定だったのですが、生配信が終わった後もユーザー同士で生配信の感想を話し合うコミュニケーションが行われていて、それはメタバースならではのものだと感じました。

メタバース挑戦の手応えと、それぞれが描くメ〜テレの未来

−−最後に今後のメ~テレの展望についてお伺いできますか?

小林さん:私たちは「共創メディア」を目指してどんどん新しい取り組みを行い、一方的なマスに対する放送だけでなく、デジタルツールを使って双方向のコミュニケーションを促進していきたいと考えています。そのためにはxRやメタバースはこれから重要な技術の一つであると考えています。
萩原さん:そうですね。一方的に情報を提供する従来型のテレビメディアとしてではなく、各番組のファンの人たちと一緒にコンテンツの価値を高め、より良い未来に繋げていく「共創」においては、xRやメタバースは不可欠となるはずです。
藤石さん:これまでの各プロジェクトは一つのゴール、「放送」に向かって進行してきました。しかし今後は放送だけをゴールとするのではなく、イベントやオンラインコミュニティー、YouTubeやTikTok、そしてxRやメタバースも一つの手段として活用していくことを、引き続き検討していきたいと思っています。

Case Study

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