2021年11月5日

ビジネスストラテジー

クリニックと患者を繋ぐ、クラウド型電子カルテ「きりんカルテ」

近年、スマートウォッチの普及とともに注目を集めているヘルステック。しかし、医療の現場ではまだまだデジタルトランスフォーメーションが進んでいないのが現実です。そんな医療分野のデジタルトランスフォーメーションを進めるサービスとして期待されているのが、クラウド型の電子カルテサービス「きりんカルテ」です。同サービスを運営するPHC株式会社(以下、PHC)メディコム事業部 ビジネストランスフォーメーションセンター プロダクトマネージャーである福島 里江様にお話を伺いました。

PHC株式会社 メディコム事業部 ビジネストランスフォーメーションセンター
プロダクトマネージャー 福島 里江様

デジタルヘルスケアで医療と人を優しく包む、そんなサービスでありたい

私たちPHCのメディコム事業部は、1972年に日本初の医事コンピューターを提供して以来、医療機関や調剤薬局向けにオンプレミス型の医事会計システムや電子カルテなどを提供してまいりました。
2020年9月には、ビジネストランスフォーメーションセンターとして渋谷に新たにオフィスを構えました。
ビジネストランスフォーメーションセンターは、ITサービス事業者出身者を中心にクラウド型システムを開発・提供し、医療事業者の業務改善・業務支援に貢献する部門として、広くヘルスケア領域にサービスを提供し皆様の健康維持・増進に貢献するべく、立ち上がった新しい部署です。
クラウド型電子カルテ「きりんカルテ」も、ビジネストランスフォーメーションセンターで開発を行っています。

私たちは「デジタルヘルスケアで医療と人を優しく包み、明るい未来を実現する」そんなサービスを提供したいというビジョンを掲げ、ヘルスケア領域においてデジタルトランスフォーメーションをより一層促進し、ヒト・モノ・コトの情報がつながる状態を作り出すことで、医療従事者の業務効率化・付加価値業務への注力を支援するだけでなく、その先にいる方々の健康維持・増進、健康管理がより便利になる社会を実現していきたいと考えています。

電子カルテの導入をバックアップ、初心者にも導入しやすい「きりんカルテ」

--「きりんカルテ」のターゲットを教えてください。

新規開業や承継によって電子カルテの導入をご検討中のクリニックや、紙カルテから電子カルテへの切り替えを検討中のクリニックの方が中心となります。
電子カルテの導入理由は、現場の業務効率化のためであったり、新たに在宅医療をはじめられるケースなどクリニックによって千差万別です。電子カルテに求められる機能においても、他システムとの連携に重点を置かれる先生や画像撮影アプリに興味を示される先生など、様々なニーズがあります。
私たちは、現場の課題感やニーズにしっかりと寄り添い解決できるよう、細かくヒアリングを行った上で先生方へご提案を行っております。

特に最近ですと、新規開業の方の電子カルテ導入率は9割とも言われており、電子カルテの導入そのものに悩まれるケースよりは、どの電子カルテにするべきかを悩まれている方が多い印象ですね。

--そもそも電子カルテの利用率はどれくらいなのでしょうか?

無床のクリニックは日本に約10万施設あり、およそ5万件が電子カルテを導入していると厚生労働省のデータで公表されています。
日本のGDPにおいて、医療・介護業界は、GDPの10%程度の規模です。また、国家予算の一定割合を占める社会保障費は今後も拡大し続け、市場規模が一定成長し続けることが見込まれていますので、医療業界のデジタルトランスフォーメーションについては、今後もますます進んでいくことが予測されます。

--数ある電子カルテの中でも「きりんカルテ」の特徴を教えてください。

1.クラウド型
世の中の潮流通り、電子カルテもオンプレミス型のシェアが大きいのが現状です。オンプレミス型の特徴としては、カスタマイズ性の高さや豊富な機器連携に加え、サポート体制の充実さという点があげられます。
一方で、クラウド型は個別のカスタマイズを行うことは難しいですが、場所を選ばず使える点や機能が自動でアップデートされる点などが特徴と言えるでしょう。近年は、在宅診療をされるクリニックも増加しており、移動中や訪問先で電子カルテのご利用をされるケースも多くなっています。

2. 導入しやすい価格設計
クラウド型だからこそ実現できるのが「低価格」です。オンプレミス型の場合、初期の導入費用として数百万円、さらに5年から7年くらいのスパンでハードのリプレイス時にも同様の料金が発生しますが、クラウド型の場合は初期費用も月額の保守・サポート費用も安価に抑えることができます。
さらに、「きりんカルテ」では、他社のクラウド型サービスと比べても安価な設定になっており、ITコストを抑えた開業を実現できます。

3. 予約機能、自由診療機能、在宅機能、画像撮影アプリが標準搭載
まず、「予約機能」は、患者向けのクリニック予約ツールとして、スマートフォンやタブレットでご利用可能なアプリ版、ブラウザでご利用可能なWeb版をご提供しています。患者自身で診察予約を行えるため、受付窓口での電話応対等の手間を軽減することができます。

「自由診療機能」は、保険診療分と自由診療分のカルテの切り替えをワンクリックで実装しています。自由診療を行っているクリニックが増加してきており、お問い合わせをいただくことが増えてきている機能の一つでもあります。

どこからでも操作できるクラウド型の特徴を活かし、在宅医療専用の機能を搭載しています。カレンダー画面で往診スケジュールや患者を管理したり、診療予定日のオーダーをカルテに事前に入力したりすることができ、処方箋なども、事前に印刷し準備した上で診療が可能です。

「画像撮影アプリ」は、きりんカルテと連携するアプリで、撮影した紹介状や患部の写真をきりんカルテにアップロードする能です。撮影した写真には書き込みもでき、皮膚科や訪問診療を行うクリニックなどでよく利用されている機能となります。

【アプリ側】

【きりんカルテ側】


これら4つの機能が、基本機能に加えて標準搭載されているというのは「きりんカルテ」の大きな特徴として考えています。追加のオプション料金として費用を(もしくは、追加のオプション料金をお支払いいただく必要がありませんので~)お支払いいただく必要がありませんので、安心してご利用いただくことができるのではないかと考えております。

医療に関わる全ての方に優しいサービスでありたい

--「きりんカルテ」は今後どういう方向性に歩んで行かれますか?

クリニックにとっても、医療従事者にとっても、患者にとっても優しい、そういったサービスであり続けたいと考えています。私たちのサービスをご利用いただくことで、安心・安全に診療し、受診できるお手伝いを行えるよう、サービスも日々進化させていかなければならないと肌で感じています。


一例ではありますが、最近では「地域医療連携」というワードもよく耳にします。クラウド型電子カルテによって、患者と病院・クリニックの連携、病診連携や病病連携、介護施設との連携などが、今後も加速されるのではないかと思っています。
電子カルテを通じて「住み慣れた地域で暮らしていけること」のお手伝いができれば良いなと考えています。


--最後にベンチャーの皆さんに一言をお願いします。

金融におけるフィンテックや人事におけるHRテックなど、様々な業界でデジタル化が進んできている一方で、ヘルステック、いわゆる「デジタルヘルス」においては、冒頭申し上げた通り、まだまだこれからという状況が現実です。医療ITの特徴は、高齢化や医療費の増加など、社会性・公共性の強い課題の解決に向けたテクノロジーである、ということだと思っています。私たちは、医療ITの分野で、デジタルトランスフォーメーションにおけるデータ活用を加速化させることができるサービスの提供を行い続けていきます。

 

in-Pocket編集部

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