先日新しくオープンした虎ノ門ヒルズビジネスタワーの中にある「虎ノ門横丁」に行って来ました。様々なジャンルの26店舗が集積した飲食街となっており,これまで多店舗展開していなかったような有名店も多数入っていることですでに話題です。コロナ禍でのオープンとなったため,売りのひとつの「はしご」機能は制限がかかっていましたが,逆に店舗ごとの集客が大変な現状,飲食店としてはこうした新しい場としての付加価値による集客はひとつの解決策なのだと思います。またこうしたポップアップな仕掛けであれば,出退店が頻繁でも違和感が無いですし,期間限定出店などフレキシビリティも生み出せ,顧客に対しては飽きない価値を,飲食店側にも出退店リスクを低くできるメリットがあるでしょう。
実はこうした横丁人気はここ数年続いてきた傾向です。同じく最近オープンした渋谷のミヤシタパークにも渋谷横丁というものができました。こうした新しい再開発はこれまではどちらかというと洗練された綺麗さを目指すことが多かったですが,一方で都市の猥雑さが消えていくことの方の問題にようやく気がつき始めたとも言えるでしょう。さらに近年のオンラインビジネスの台頭は綺麗さだけではネットの利便性に勝てないという要因もリアルな施設ビジネスに突きつけられた課題になりつつあります。混沌や猥雑が生み出す場の価値というものは人を惹きつける魅力があります。実際コロナ前に活況だったインバウンドで来る外国人観光客にも新宿ゴールデン街などは大人気でした。横浜の野毛地区なども人気スポットになっており,地方にも様々な横丁スタイルが増えています。
もうひとつ横丁の持つ機能として「出会い」があります。恵比寿横丁と新橋のコリドー街も大人気な横丁ですが,この二箇所は現在東京の二大ナンパスポットと言われています。最近は男女の出会いもオンラインのマッチングアプリが全盛の時代ですが,昔ながらのナンパスポット人気も健在です。では横丁は何故出会いに向いているのでしょう。そこは以前にこの連載の中でもテーマとして取り上げた「縁側(ソーシャルエッジ)」(https://www.i3design.jp/in-pocket/7233)の効果と言えるでしょう。日本の縁側はプライベート空間とパブリック空間の狭間に存在する装置です。横丁のように店舗同士の壁が少なく街全体がひとつのセミパブリック空間を持つような場所では自分達グループと他のグループは同じパブリック空間を共有する仲間という意識が芽生え親近感が高まるセミパブリック効果が生まれます。また横丁では違う店舗の飲み物や食べ物をオーダーできるようになっているところも多く,代わりに注文してあげたり,買ってきて上げるということが会話のきっかけを生みやすいという効果もあります。もちろん男女だけでなく,企業同士の異業種交流やスタートアップ同士のオープンイノベーションを産み出すための交流などにもこうした横丁モデルは使えるのだと思います。
これからはさらにこうした猥雑さを残した横丁をデジタルでしっかりと機能的サポートにするところも重要になるでしょう。虎ノ門横丁では事前予約の仕組みなどデジタル対応をすすめていますが,さらにスマホでのオーダーやオンラインでの決済などにも対応していくことで,猥雑さが持つ不便さを解消し,何度もリピートしたくなる仕掛けなども用意できることになると思います。チャット機能なども使えば「最高な餃子をたくさんオーダーしたので食べたい人Bテーブルまで来ませんか!3席空いています!」みたいなナンパもデジタル化することになるかもしれません。オンラインで仕事ができて会社に行く必然性を喪失しつつある今。あえて虎ノ門まで行く理由は「虎ノ門横丁に行きたいから!」そうなればこのプロジェクトも大成功なのでしょう。
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