2019年7月26日 ビジネス

ロボットUXと都市の形

今回は、これからとても重要になるロボットのUXについて考えてみましょう。と、言っても人間とロボットが対話するためのインターフェイスではなく、
 
『ロボットが活躍するためのロボット自身のUXの話』です。
 
 
 
これまでアクセシビリティと言えば、ハンディキャッパーの人のために階段を止めてスロープを作ろうというような議論が多かったです。しかし、これから未来の社会において、我々はロボットのアクセシビリティを意識する必要があります。自動運転ロボットに荷物を運んでもらうサービスの実験などが始まり、ロボットが家まで宅配の荷物を運んでくれる未来を想像します。
 
そうなると、自動運転の車の場合は道路という比較的整備された環境をそのまま走ることが前提になります。しかし、宅配ロボットが移動する道は大変です。住宅の玄関までの道のりは段差や階段だらけの道を移動しなければ行けません。車椅子用のスロープがあった方がいいよねという弱者向けのアクセシビリティ的な発想はもう捨てる時です。むしろ、ロボットが動けるところとそうでないところで生活の利便性が格段に変わる時代が来るかもしれません。アクセシビリティの設計はロボットのUXという概念に大きく変わる時代が来るのです。
 
 

 
 
もっとわかりやすいイメージを持ってもらう意味では、映画スターウォーズのデススターの中を想像すると良いかもしれません。あそこでは人間や異星人に混じり、C3POのような人間型ロボットからR2D2のような走行ロボット、そして小さい色々なロボットが多数動き回っていました。まさにあの世界がまもなく我々の生活の中に訪れようとしているわけです。
 
現在では、夜に商品を点検するロボットなどが活躍している店舗がありますが、まだ「一台のロボットが夜に動くこと」が前提になっています。しかし、これからは夜に警備ロボットも動くかもしれません。壊れたところを修理するロボットも時々は登場するかもしれません。お互いに通信するか、カメラで識別してぶつからないだけでなく、作業を邪魔しないようにお互いが調整しあう必要もでてきます。
 
 

 
 
スターウォーズでもそうでしたが、C3POはエレベーターで人間と同じようにボタンを押せます。でも、R2D2はボタンを押せないので専用の針のようなインターフェイスに突き刺して通信していました。しかし現代なら、ここはBluetoothか赤外線、もしくは可視光通信あたりで非接触の方がいいのかもしれません。
 
いずれにしてもエレベーターも人間だけが載る前提の設計思想から、ロボットが自分で乗り込んでくるという前提のUXを考えないといけない時代に来ました。オフィスビルの扉なんかもそうです。バックヤードの扉ほど、開けにくい大きい扉です。今だと荷物を搬入するためのロボットが自分で扉を開けるために専用のアームをつける必要があります。ロボットを人間に近づけるのか、それともより効率的な形にするのか、我々の日常生活にロボットが入り込んでいく上での大きな別れ道に来ています。
 
そろそろ、こうしたロボットが活躍する社会の都市におけるUXを真面目に議論する段階に入っています。こうした街の中にいるロボット達のデザインも考えていきたいところです。R2D2みたいなものも良いですが、犬や猫の形をしたロボットが自然に歩いているが、実は内臓センサーで警備していたり、さりげなく掃除をしていたり…と、楽しいかもしれません。ひとつのロボットを設計する人と、全体のアーキテクチャでデザインを考える人の両面がこれから必要になると考えます。ロボット社会の優れたアーキテクトが早く登場して欲しいですね。
 
 

Kentaro Fujimoto

D4DR 代表取締役社長

1991年電気通信大学を卒業。野村総合研究所在職中の1994年からインターネットビジネスのコンサルティングをスタート。日本発のeビジネス共同実験サイトサイバービジネスパークを立ち上げる。 2002年よりコンサルティング会社D4DRの代表に就任。広くITによるイノベーション,事業戦略再構築,マーケティング戦略などの分野で調査研究,コンサルティングを展開しており,様々なスタートアップベンチャーの経営にも参画し,イノベーションの実践を推進している。現在、日経MJでコラム「奔流eビジネス」,日経BIzgateで「CMO戦略企画室」を連載中。

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