著者: David O. Andersen
UX/UI Designer, Digital Marketer, Photographer. Tech, indie rock, coffee, bibimbap
こちらは、UX Planet から許可をいただいて翻訳・掲載している記事・画像です。Confessions of a UX designer
同業者であるデザイナーの皆さん、どうか私の失敗を許してください。
すべての始まりは、去年、最初にUXデザインという魅惑の世界を初めて発見し、そして自分もデザイナーになってみようと決心したことでした。オンラインコースを受講し、本やブログでさらなる知識をかき集め、SketchやPrincipleといったツールの使い方を学習。ほどなくして、理論を実践に移したくなった私は、UXデザインでの副業を始めました。ユーザーインタビューを実施し、ペルソナを作り上げ、可能なソリューションを構想し、プロトタイプを作りました。順調に事は進み、やがて、私はいくつかプロジェクトを完成させました。その中には、フィットネスのチャットボットのコンセプトや、フードアプリのデザインリニューアルも含まれています。
少なくとも私自身は、うまくいってるな、と感じていました。そして自分で発見したことなどをオンラインでシェアしていると、より経験を積んだ他のデザイナーたちからフィードバックをもらったのです。そして気づきました。私の仕上げた仕事は、はじめに自分で思っていたような、本当に「完成した」わけではなかったのだということに。デザイナーとして成長するにつれ、自分の犯した誤りがさらにはっきりとわかるようになりました。
自分の失敗がじわじわと明確になってきたことが、この投稿記事を書きたいと思ったきっかけです。何かを学ぶ時のベストな方法は、自分の過ちを素直に認め、どう改善できるかを考察することだとわかりました。そしてここで私の学びをシェアすることが、たぶん、他の人の学びにもなるんじゃないかと思うんです。私たちはみんなそうやってよりよいデザイナーになる、んじゃないですかね? どんな失敗をして何を学んだかをシェアすることで、他の方々にもその過ちが役立つことがあるはずです。
難しい話は抜きにして、ここからは、私がこれまでUXデザイナーの仕事をするなかで犯した失敗や、そこから学んだ教訓をいくつか挙げていきます。
目次
1. ユーザー理解のための時間を充分にとらなかった
良いユーザーエクスペリエンスデザインの核は共感である、という視点に立つと、デザインを提供する人々について、本当に理解するまで十分に動けてはいなかったなと思っています。私のプロジェクトはすべて、ユーザーインタビューやアンケートからスタートしていましたが、進めていく前に、共感を構築するための時間をもっととるべきでした。
リサーチ結果が充分でないために、何層ものペルソナやユーザージャーニーを構築することができず、先の段階に進めれば進めるほど、そのプロジェクトはリサーチではなく、憶測を元にしたものとなってしまっていました。
2. ひとつのソリューションに即飛びついていた
リサーチしたものからアイディエーションしていく際に、私は着目していた問題に対して、ありうるであろう解決策をすぐ見出すことができました。しかし、最初に浮かんだアイデアに固執し過ぎてしまい、自分が好きだから、という理由だけでそのアイディアを進めてしまっていました。
そうではなく、私はもっと多くのアイデアを考え出し、異なる手法を探り、そこから最良なアイデアを選び出して進めるべきでした。そしていったん可能性のあるソリューションを特定したら、調査結果によってその有効性を確認したり、そのアイデアについてユーザーのフィードバックを取るなりすべきでした。
この先、「仮説駆動型デザイン」を中心に据え、すべての選択肢がエビデンスによって裏付けされるような仕事になるでしょう。
3. ビジュアルにとらわれ過ぎた
短絡的に、特定のひとつのソリューションを選んでいたのと同様、私は早い段階からデザインの見た目にこだわり過ぎていました。しっかりした一連のユーザーフローを構築したり、情報のアーキテクトやコンテンツを検討したりすることでいかに製品が機能するかを考えるよりも、私はすぐさまSketchに飛びつき、活字書体を選んだり、色彩設計に目を通したりしていました。
私の初期のワイヤーフレームのひとつがこちら
SketchやPrincipleでの作業のやり方を学んだばかりの私は、自分のビジュアルデザインスキルを試したり、美しいUIやアニメーションを作ったりしたくてたまりませんでした。そしてこれらは優れたデジタル製品にとって確かに重要なものではあるものの、私はあまりに早い段階でビジュアルデザインばかりにとらわれすぎていました。
この失敗を避けるために私は自分に制限を課し、Sketchを極力使わないようにして、代わりにペンと紙に頼ることにしました。そして次第に私は、試験目的で高忠実度(ハイファイ) のワイヤーフレームを使うことを避けるようになり、代わりに自分のデザインの使いやすさや機能性に着目するようになりました。
ビジュアルデザインはもちろん良質なユーザーエクスペリエンスデザインには重要な要素ですが、デザインの最終段階に行かないうちに考慮すべきものではありません。
4. すべてをしようとしていた
これまで取り組んだプロジェクトのなかで私は、リサーチャー、UIデザイナー、情報アーキテクチャー、ビジュアルデザイナー、製品デザイナーを含む幅広い役割を引き受けていました。さまざまな役割のなかで自分のスキルを示す必要があり、それぞれで素晴らしい仕事をやり遂げることが、自分への挑戦だと思い込んでいました。
いや別に…
今でもなお、UXデザインプロジェクトのすべての段階で自分の力を発揮できるようになりたいという強い野心はあるものの、始めたばかりの私にとってその課題はあまりに大きな挑戦だったのだろうと思います。結局私は、初めからあまりに多くのことをやろうとし過ぎたのでした。
でも、そうじゃないですよね。
それよりも、デザインプロセスの特定の領域を選んで、みんなが実践するさまざまなやり方や方策を探索していくべきだったのです。たとえば、専らユーザーリサーチだけに焦点を絞れば、リサーチ戦略について深めていくこともできたし、ワイヤーフレームや簡単な試作品で使いやすさをテストしたりすることもできたはずです。
5. 最も重要なのは最後に優れた解決法を出すことだと考えていた
デザインを始めた当初、私は、重要なのは素晴らしい最終的に出すソリューションのみであると考えていました。そしてそこへたどりつくプロセスは、単にひとつひとつ学びながら進めていくべきものに過ぎないと思ってました。結果にたどり着くまでの手段に過ぎない、と。
その後私は、優れたソリューションはもちろん理想的な結末ではあるものの、それがどんなものであるかは、デザインのすべての段階に時間を費やさなくては見えてこないものであるということを学びました。あるソリューション候補を機能させる優れたアイデアがあったにしても、そのアイデアが現実問題を解決する実際のソリューションとなるまでには、そのプロセスにおけるさまざまな局面に深く入り込む必要があるのです。
そしてデザインというものが最終的に目指すべきところは、単に優れたソリューションを導き出すだけではなく、そこに辿りつくまでにどんな段階をとる必要があるかを理解することも含まれるのです。
良いデザイナーは、機能するソリューションを考えつきます。しかし「優れた」デザイナーは、そのプロセスを明確に述べることができ、各プロセスがそのプロジェクトに関して重要である理由を説明でき、そこに行きつくまでの考察、アイデア、選択を明確に述べることができるのです。
デザイナーとして仕事をしていくうえで私は、優れたデジタルエクスペリエンスを創造するための、自分のやり方やプロセスに磨きをかけ続けていくつもりです。そしてそのなかで私は、間違いなく新たな過ちを犯していくことでしょう。私の失敗や学びを、あなたのキャリアの中で役立ててもらえればいいし、さらにあなた自身もいろいろ失敗すると思うんです!それは、将来にその失敗を繰り返すことを避け、新たなより良いソリューションを見つけ出していくのに、一番の方法だと私にはわかったのです。
こちらは、UX Planet から許可をいただいて翻訳・掲載している記事・画像です。Confessions of a UX designer
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