2017年4月13日

トレンド

移動販売の可能性

D4DR 代表取締役社長

最近人気なイベントにマルシェがある。公共スペースなどで週末に農家などが直接野菜を販売しに来る市場だが、スーパーマーケットには無いこだわりの有機野菜や手作りの加工品など作り手の思いを直接コミュニケーションしながら購入することができるなど、新しい商品との出会いの新鮮さや自然志向の高まりなどに伴い各地で開催数も増え人気がでている。

 
現代のチェーンストア化した小売りは効率性や収益性を重視することで、どこでも同じような商品が並び、商品の説明を受けながら購入することもなかなかできない。ネット通販の利便性も高まる一方でこうした昔ながらの販売方法の持つ魅力に感度の高い生活者が関心を示すことは今後のリアル店舗の方向性を示唆していると言えるかも知れない。

 
一方で働き方改革も叫ばれている中、週末起業で副業をしたい人も増えている。休日だけ農業したり、こだわりのカフェをやりたいというニーズも高まっている。このような両方のニーズを満たすのが移動販売だ。移動型の店舗であれば必要な時だけ行きたい場所で販売できる。常設で無いことで家賃や出店費は安く抑えられる、必要な時に最低限のリソースで店舗を持つことができるため、とても低コストなオペレーションが可能だ。

 

しかし一方で移動販売の場合はユーザーから見た時にいつどこで販売しているのか、今やっているのか?在庫はあるのか?なども気になるところである。そこをITの力でカバーすることで効率的な新しい店舗モデルの可能性があると言えるだろう。

 
そうした移動販売のプラットフォームビジネスを目指すスタートアップのAndeco社は「PINCHASE」というアプリをリリースした。今どこでどんなお店が営業しているのかがわかることで移動販売でもプロモーションができたり、リピーターを獲得することが可能になりつつある。移動屋台などはイベントと連動することが多いので、そうしたイベントも検索できるようになっている。

 
多くの移動販売が登録して活用するようになると、自分好みの店を検索しながら探すのも楽しいかも知れない。今後は事前にスマホで予約購入したり、企業の社員が100名以上集まったらオフィスのそばまで定期的に販売に来てもらうということも可能になるかも知れない。

 
立地が悪いとか固定費が高いなどでせっかく高い開店コストをかけた店のうち半分は2年以内に閉店してしまうというデータがある。しかし、ニーズがあるところに機動的に展開できる移動販売がIT武装することでこれまでの常識を変えた新しいビジネスの可能性をたくさん秘めていると言えるだろう。

Kentaro Fujimoto

D4DR 代表取締役社長

1991年電気通信大学を卒業。野村総合研究所在職中の1994年からインターネットビジネスのコンサルティングをスタート。日本発のeビジネス共同実験サイトサイバービジネスパークを立ち上げる。 2002年よりコンサルティング会社D4DRの代表に就任。広くITによるイノベーション,事業戦略再構築,マーケティング戦略などの分野で調査研究,コンサルティングを展開しており,様々なスタートアップベンチャーの経営にも参画し,イノベーションの実践を推進している。現在、日経MJでコラム「奔流eビジネス」,日経BIzgateで「CMO戦略企画室」を連載中。

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