2017年2月9日 ビジネス

パッケージメディア店舗の行方

先日TSUTAYAが「敢えて見ないレンタル」という企画を実施して話題になった。
参照: http://top.tsite.jp/entertainment/cinema/i/34023654/
 
これはDVDのパッケージを見せないでジャンルとスタッフがつけたキャッチコピーだけで興味を持ち、レジに持っていくと初めて中身を教えてくれるというものだ。実はこうした企画は書店でも同様に行われ始めている。元々LPレコードではジャケ買いというジャケットの雰囲気だけで購入するということがよく行われていた。今回はそのキャッチコピーバージョンとも言える。
 
こうしたユニークな企画が出てくる背景はもちろんパッケージメディア店舗の衰退だ。書籍雑誌は読まれなくなっているだけでなく、オンライン販売中心の中書店は次々と閉店している。日本では安い価格で利便性が高いレンタルDVDショップが多いからネット配信は流行らないと言われて来たが、いよいよNetflixやAmazon Primeビデオなどが普及し始め、レンタルDVDも危機的な状況を迎えつつある。一足早く厳しかった音楽も定額ストリーム配信が定着しつつある中CD販売はアイドルだけに支えられている状況だ。
 

 
こうした時代に店舗はどうあるべきだろうか。アパレルや眼鏡の分野では米国でBONOBOSやWARBY PARKERなどオンライン中心の新ブランドがむしろ店舗を増やしている。これらは店舗では販売しないで試着や店員のアドバイスを受ける場所に機能を限定している。ファッションセンスや試着などが求められる場合、店舗はむしろ戦略的に重要になるのだ。
しかしパッケージメディアはどこで購入しても同じであり、ロングテールで大量の品揃えをしなければいけないために店舗面積も広いスペースが求められる。10万円の服が存在するアパレルとは異なり低価格品中心なのでただでさえ坪単価効率は悪く、オンラインに比べても圧倒的に不利だ。
 
ではパッケージメディアはもう店頭では難しいのだろうか?筆者はその唯一の可能性をスタッフによるキュレーションとライブ感にあると考える。先ほどのキャッチコピーもスタッフがつけたものだが、音楽や映画、書籍はそもそも大好きな人がスタッフになっていることが多い。その専門性を活かし狭いスペースのカウンターなどでお酒や珈琲でも飲みながら自分の好みなどを伝えるとそれならこれを見るべき、聴くべき、読むべきとアドバイスをしてくれその場で購入、注文してくれるスタイルだ。パッケージの費用はもう会費や飲食代に込みにしてもよいかも知れない。店舗ではコミュニケーションそのものを楽しむことから収益をあげるべきだろう。もうひとつはライブ感。音楽はすでにライブハウスがあるが、個人的にもう本を読む時間は無い。ここは筆者自ら本の内容をプレゼンする1時間のトークセッションなどを毎日開催してくれれば是非そこで内容を短時間で理解したい。まあ一言で言ってしまえば「物を売ることからサービスを売る」という時代の流れそのものだが、お洒落なTSUTAYAもまだ昔ながらの店舗だ。早くそうした店舗が待ち遠しいと考える日々だ。

Kentaro Fujimoto

D4DR 代表取締役社長

1991年電気通信大学を卒業。野村総合研究所在職中の1994年からインターネットビジネスのコンサルティングをスタート。日本発のeビジネス共同実験サイトサイバービジネスパークを立ち上げる。 2002年よりコンサルティング会社D4DRの代表に就任。広くITによるイノベーション,事業戦略再構築,マーケティング戦略などの分野で調査研究,コンサルティングを展開しており,様々なスタートアップベンチャーの経営にも参画し,イノベーションの実践を推進している。現在、日経MJでコラム「奔流eビジネス」,日経BIzgateで「CMO戦略企画室」を連載中。

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