2017年1月13日 ビジネス

日本の物流を救え!

昨年も日本のEコマース市場は順調に成長したが一方年末には大きな課題も浮き彫りになった。それは物流のパンクである。年末佐川急便は一部地域で遅配が多発したようだ。(※「佐川急便で全国的な遅配が発生」参照)
 
 
原因としては急激な荷物量の増加があげられているが、年末はただでさえお歳暮やクリスマス、年末商戦など消費が大きく拡大する時期であり、Eコマースの拡大はこれまで以上に物流への負荷が高くなったと思われる。さらに日本は少子高齢化が進む中ですでに慢性的な人手不足に陥っており、需要に供給サイドの労働力も追いついていない状況だ。
 
 
delivery960
 
 
しかしこうした状況を生んでいる大きな理由のひとつが再配達問題。国土交通省の調査ではおよそ宅配の2割は再配達と言われている。つまり10個運ぶうちの2つは無駄に運んでいることになる。国土交通省の試算ではこれは年間9万人の労働力に相当するとしている。これだけの無駄が削減できれば現状の物流も大幅に効率化できる余地はまだまだあると言って良いだろう。
 
 
では何故再配達がおきるのか、それは事前の不在確認ができないからである。今どきであればスマホを使った仕組みを工夫するだけで配達時間の確認、在宅確認などは簡単にできる。さらにコンビニ受け取りなどを使うことも再配達を減らすことに貢献できる。このあたりは利用者サイドの努力でも十分実現できることであり、今後の社会システムを効率化するためにも一人一人が協力するだけで実現できることである。これまで何かというと「リテラシーの低い人にあわせたきめ細かいサービスを」という考え方が大事に言われて来たが、無駄な配送のCO2排出だけでも山の手線の内側の2.5個分のスギ林の年間CO2吸収量が無駄に排出されていることになる現状、そうしたちょっとした努力に参画することはゴミの分別くらいもはや国民の当たり前の義務と考えるべきではないだろうか。
 
 
さらに昔は当たり前だった隣近所が荷物をあずかる習慣を現代的なシェアリングエコノミーサービスで実現することもありだろう。自宅や空き家などスペースに余裕のある人が一時預かり倉庫として不在荷物やよく注文される商品を事前に預かっておくなどのサービスを実現することもソリューションのひとつになる。日本は課題先進国と言われているが、いよいよ様々なところで労働力不足まったなしが現実化する2017年。トラックの自動運転によるドライバー不足の解消なども含め、本気に対応が求められる状況に来ている。そしてそれは事業会社の努力だけでなく、個客自身ができることに参加していくことも求められることが何よりも大事な時代だと考える2017年の幕開けである。
 
 

Kentaro Fujimoto

D4DR 代表取締役社長

1991年電気通信大学を卒業。野村総合研究所在職中の1994年からインターネットビジネスのコンサルティングをスタート。日本発のeビジネス共同実験サイトサイバービジネスパークを立ち上げる。 2002年よりコンサルティング会社D4DRの代表に就任。広くITによるイノベーション,事業戦略再構築,マーケティング戦略などの分野で調査研究,コンサルティングを展開しており,様々なスタートアップベンチャーの経営にも参画し,イノベーションの実践を推進している。現在、日経MJでコラム「奔流eビジネス」,日経BIzgateで「CMO戦略企画室」を連載中。

この記事をシェアする