トランプの大統領選挙勝利の衝撃が世界を駆け巡った。6月のBrexitを決めた国民投票とあわせて富裕層と中間層の分断、民主主義の終わりなど様々な 論説も溢れ出ている。
二つの出来事はどちらも「国境」という壁を取り戻そうとする動きでもある。トランプはメキシコとの国境に壁を作ると宣言し物議を醸した。イギリスもEUの枠組みからもう一度自分達の国境を取り戻す動きでもあった。崩れゆく中間層は関税をもうけ、移民をせき止める壁をもう一度求めているのだろう。
しかし現実は世界からは国境は溶けつつある。グローバル企業はタックスヘブンに本社を置き、世界中で資本を最適化し利潤をあげている。宗教は国境を越えて争いを続けている。民族も勝手に誰かが決めた国境とは関係無く分布している。国境はもはやノスタルジーであり、ファンタジーとなりつつことをあらためて示しているのかもしれない。
民主主義的に考えれば自分達の直接の利害が見えるのは住んでいる都市だ。インフラやルール、環境など住んでいる人々が直接自分の住んでいる都市についての政策を決める投票は本当の意味での思いだろう。都市において民主主義が当面死ぬことは無いのではないだろうか。
国境が溶けていく中で世界中の都市が必要な市民を争奪しあう戦いが起きている。今回の大統領選挙でもグローバルな東西の沿岸部の都市と内陸部の都市で綺麗に投票結果が別れていた。都市単位で見れば求めているものは明確になるのだろう。
そうした中、シリコンバレーやシアトルという都市に住むイノベーションを起こすアントレプレナー達にとって全米の選挙よりも大事なことは全地球の課題を解決するテクノロジーだ。選挙では社会の課題は解決しない。FacebookやGoogleは今地球の空を飛ぶ無人の飛行船や飛行機の開発に邁進している。地球の空を飛び、地上の人達に世界と繋がるインターネット環境を提供するのだ。安価なスマホ一台が繋がればまだまだインターネットに繋がっていない途上国の都市市民達が地球市民としてアクセスできるようになる。そのパワーはさらに国境を意味無きものにするだろう。
facebookが進める無人飛行機中継基地
Googleが進める気球プロジェクト
彼らは社会を変えるのは政府でも大統領でも無いことを確信しているのだろう。イノベーションこそが地球の課題を解決し、国境を溶かすのだ。
D4DR 代表取締役社長