iPhoneがSuicaに対応したことは驚きを持って報道された。中でもガラパゴスと自分達を卑下していた日本人達からするとグローバルで2億3千万台も出荷しているiPhoneがまさか日本だけのためにガラパゴスの象徴的な「おさいふケータイ」特別仕様を作る事には衝撃を受けた。
もちろんアップルにとっては全体として減収減益と逆風が吹き始めている中、日本市場だけは20%以上の伸び率を続けている大事な市場であると見れば納得できるところもある。
(Apple公式サイトより)
Twitterも2014年ぐらいから全世界的には利用者の伸びが止まり、限界説がささやかれ、まさに身売り報道が連日報道されているような状況だ。
しかし日本市場だけは伸び続けており2016年の4-6月期の売上は前年同期比20%増と好調であり、ニュース機能などは全世界に先駆けて日本でリリースされている。様々な買収先が噂されているが、日本企業が買収してもよいのではと思えるぐらいだ。
そして面白いことに両社とも日本に研究開発拠点を設けている。Twitter社は海外では日本が初の研究開発拠点になる。アップルも横浜にアジア最大の研究開発拠点を建設中だ。ハードウェアやソフトウェアなど世界各地に研究開発拠点をすでにもっているアップルだが、日本は新しい先進デバイスや自動車、ヘルスケアなどまさに新しい市場創造のための拠点と見られている。実はダイソンも日本市場をとても重視している。
表参道にある店舗は世界初の旗艦店だ。家電の先進ユーザーは日本にいると考えており、日本市場で成功することがそのままグローバル市場への成功につながるという戦略だ。
(Apple公式サイトより)
これまで「ガラパゴス」は世界標準から取り残されることを指した。しかし、種の多様性を維持しながらイノベーションを生み出す島ガラパゴスと考えると違った景色が見えている。日本は世界第三位の市場としての大きさも今の所なんとか維持しているが、一方で高齢化社会、労働者不足などの課題先進国でもあり、さらに高いクオリティを求める厳しい目線の生活者達が存在する。
ボリュームでは魅力は減っているが、グローバルスタンダードとは異なる新しいニーズや要求水準などに鍛えられる市場と見るとまだまだ魅力的な市場ではある。通勤ラッシュをこなす必要のあるSUICAが200ミリ秒以内の処理速度の水準を満たしているのは世界標準からすると極めて厳しい要求水準だった。
しかし、先日NFCの世界規格にようやく盛り込まれガラケーで当たり前であったモバイルSUICAがようやくiPhoneに搭載されるという流れになった。まさにようやく世界が追いついた?とも言えるのかも知れない。これからはグローバルカンパニーを日本色に染めながら日本市場のグローバル化を目指すというのも日本の戦略としては方法論だろう。まさに「ガラパゴス」のグローバル化が始まっているのだ。