2016年3月24日

ナレッジ

ドーモ占部氏と語る2016年以降のモバイル事業「2016年、あらゆる産業の中心にモバイルがくる」

今回は、なんとスマホ最適化サービスでド競合にあたるGoogle認定のマルチスクリーン対応プラットフォームである「Mobify(モビファイ)」のサービス提供をしている株式会社ドーモの代表、占部氏と、弊社i3DESIGNの代表芝の二人で、今後のモバイル事業の展望について酒を酌み交わしつつ語り合ってもらいました。

 

もともと二人は、昨年のモバイルワールドコングレス(以下、MWC)2015に弊社が出展をしている際に、現地で会って情報交換をスタートしたのがきっかけですが、今年のMWCはどうだったのか?から語ってもらいました。

▼昨年のMWC出展の様子はこちら▼

2015-12-15
Mobile World Congressは世界最大のモバイル関連の見本市で、今回はバルセロナで開催された。 (別記事

 

今年のMWC2016はモバイルファーストが引き起こす“第四次産業革命”の象徴

芝:今年は当社はMWCは出展どころか参加もできていないのですが、今年のMWCはいかがでしたか?何か面白いものはありました?

占部:展示で一番面白かったものは、電動歯ブラシの「ブラウン オーラルB」かな。これで歯を磨くとログを取ってくれるのですが、もし磨き忘れていたらアラートが出て、生活習慣を管理してくれる。今年のMWCでは、こんなふうに身の回りにあるプロダクツがすべてIoTとしてコネクトしていく、という流れを感じましたね。

芝:ネットワークを経由して情報が取れる、という仕組みなんですね。面白い! MWCは広すぎて全部みて回るに偉く大変ですが、昨年と比べて、今年はどういう変化がありましたか?

占部:昨年までIoTはあくまでトライアルという印象が強かったんですが、今年から実用段階にはいってきたと感じています。今回はコンファレンスを中心に見たので、細かい国別のベンチャー企業まで回りきれませんでした。しかも今年はJapan Pavilion無かったんですよね。

芝:今年はMCF(モバイルコンテンツフォーラム)の募集が無かったのが残念ですね。去年はMCFが先導して、国ごとに8〜10社ほどまとめて共同ブースで出展していたので国別にプレゼンスを測れていたんだけど、今年はそれが無かった。だから日本のプレゼンスも無かったってことでしょう?

占部:ほとんどないです。日本企業は存在感が薄いですね。プレイヤーに回れてないともいえます…。存在感があったのは、やっぱり中国や韓国勢。

芝:キーノートセッションは、今年はだれでした?ソフトバンクの孫さんもバルセロナ行ってたみたいですが。

占部:孫さんがキーノートで登壇してもらうとうれしいですね。残念ながら登壇者に日本人はほとんどいないんですよ。
また去年はデータの紹介が多く数字から納得できたのですが、今年はどちらかというとコンセプリュアルな話が多くて、あまり実感として頭に入ってこなかったんですよね。
こうして特筆することがなく横並びになってしまったということは、僕が思うに、MWCがモバイルの端末紹介ではなく、全てのITの中心になってきている証拠かもしれません。これまでモバイルは「オマケ」だったんですが、いまは全てが「モバイルファースト」になってきている。あらゆる端末や電子機器をつなぐ中心にスマートフォンがあるという発想なので、今後さまざまな産業にモバイルがつながってくる。だから、僕は「モバイルファースト」=「第四次産業革命」って思っています。

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芝:熱いですね!素晴らしい。

占部:だから今度は上海、一緒に行きましょうよ(笑)。
※上海で6月29日~7月1日の3日間、同様のイベントが開催される予定

芝:え~、サウスバイ※とか私、北米の他のイベントか4FYNとかのほうが、最近は興味あるんですよね。MWCはモバイルが当たり前になりすぎちゃって、むしろ“ITコングレス”って感じになってきていますよね。

※サウスバイサウスウエスト
毎年3月にアメリカ合衆国テキサス州オースティンで行なわれる、世界最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバル。
http://sxsw.jp/

占部:CES※とMWCが“2大エレクトリックショー”というイメージだったけど、近年はその2つのイベントがだいぶ近づいてきた感じがします。

※CES
コンシューマー・エレクトロニクス・ショーの略。世界最大の家電見本市。
http://cesjapan.org/

芝:IoTはいわば「家電とモバイルをつなぐ」ということですし、境目が無くなってきていますよね。自動車・モバイル・家電と区別せずに、それは全部一緒でいいんじゃないか?と。

 

静かに浸透した「モバイルファースト」で、いかにオリジナリティを出すかが勝負

芝:占部さんはなんでモバイル業界に参入されたんでしたっけ?

占部:もともと1999年iモードが始まった時に、当時はガラケーでしたがアスキーアートの本を出したんですが、1冊で辞めちゃって。そうしたらモバイルが盛り上がってきたから「しまった!」と後悔しました(笑)その後にモバイルの潮流が来るのが分かったから「今度こそは」と思って、モバイル最適化の事業を始めました。

芝:アスキーアートのようなコンテンツがあったのに、なぜどちらかというとMobify(モビファイ)に辿り着いたんですか?

占部:コンテンツっていうのは難しいと痛感したんです。当たればいいんですが…。Mobifyはとあるプロジェクトを通して紹介されたのが始まりです。英語の資料を作って、現地で日本人の通訳を探してプレゼンを行いました。それが2012年ですね。

芝:プレゼンして先方にもOKもらえて、じゃあ使おうってなったんですか?

占部:そうですね。ITっていっぱい“波”があると思うんですけど、特に僕の記憶にあるのはFacebookとiPadが登場したときの影響力。だから「素手で戦っているとダメだ」と思って。今回はモバイルが来ると分かっていたから、そこで戦うための武器が欲しかったんですね。

芝:弊社も2010年か2011年にモバイル対応サービスを作って「モバイル変換サービス始めます」とプレスリリースを打ったんです。当時は同じポジションのサービスがなかったので、引合のあった企業から「どうやってやるんですか?」って聞かれるんですが、最初はα版もなくて売っていたので「“いい感じ”にできるんじゃないですかね〜」って、最初、全然セールストーク冴えなかったのを覚えています(笑)。

占部:(笑)。モバイルは2012年〜2014年まで特に大きな波が無かったんですよね。「2015年にビッグウェーブが来るだろう」と思ってたら…こない。

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芝:いつのまにか一般的になってしまいましたよね。僕はむしろこれからビッグウェーブが来ると思っています。僕が、最近注目しているのは「プログレッシブウェブ」ですね。当社はアプリの開発もやっていますが、5年先という意味では、また多くの技術者はウェブなんじゃないかなって。恐らく今年が新しいスマホサイトの元年になって、あと2-3年するとスマホサイトのインターフェイスってまったく違ったものになっていると思いますよ。5年もすると、いま見ているスマホサイトって、ガラケーサイトをスマホで表示していたくらいにダサくって、UXも大きく変わっている気がしますね。

占部:いままで特別なものだったモバイルが、だんだんと中心的な存在になって「モバイルファースト」が当たり前になってくる。当たり前になると、今度はみんな鈍感になる。一方で、なかなか変われない「PCファースト」の人たちもいっぱいいる。そこの格差を埋めることも考えたいですね。ユーザーは意識を変えないといけないし、そのサポートも必要。ココ(同業者同士)で争ってもしょうがないですよ。協力しあって、プラスにしていかないと。

芝:それは賛成ですね。今年はうちプログレッシブウェブをやりますよ!プログレッシブ自体は、まだ対応ブラウザの制約等を考えても実際のプロジェクトでの時間が掛かりそうですが、なにができるかできないかをショーケースにして見せていくようにしますよ。
モバイルサイトやスマホサイトができた2010年頃からの流れを考えると、5年経ったいまはシステムリニューアルの時期なんです。今度はプログレッシブウェブみたいなサイトが、新しいスマホサイトの主流になっていけるように。

占部:まさに「Webの逆襲が始まる」って言えるんじゃない?ドーモもハイブリッドアプリは提供していくのと、Mobifyにツールが揃っているので、「カスタマーサクセス」を実現していきますよ。それぞれの分野をうまく活用して顧客メリットを生み出せるようなサービスを市場に提供していきたいですね。

本日は有難うございました。

(編集後記)
対談後二人は、新橋の夜の闇に吸い込まれていきました。レスポンシブウェブも浸透してスマホ最適化が当たり前になったこの時代。これからは、モバイルにしかできない新たな事例でカスタマーサクセスを実現していこう!という結論で大いに共感した両氏。市場では、両社は競合プレイヤーにはなりますが、モバイル分野で顧客の成功を願っているという意味では、志を同じにする同士だったりもするんですね(笑)

in-Pocket編集部

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